503話 今時の女子大恐るべし

姪のえりこが言っている西宮のM女子大の「体育祭」を収録したビデオ(学校がちゃんと作ったやつ)が、えりこママから「最近ダンスにはまっているあさなに見せたら!」と回ってきた。


で、あさなはすっかりそのビデオにはまったのであった。あさながすっかりはまって観ているビデオはいかなるものか、と観てみたがこれがおもしろい。


女子大の体育祭といっても、ブルマー姿で玉入れやら綱引きやらをするわけではない。学科ごとに分かれてのダンスパフォーマンス合戦である。


もう少し詳しく言うと、二日に分かれ、初日は「応援合戦」二日目は「コスチューム」と題されている。


応援合戦は、黒塗りのひな壇に、30名〜40名が四角く並び、音楽や太鼓のリズムに合わせて、膝立ちのまま、主として上半身の動きと衣装の早変わりやら手袋の色やらで鮮やかな模様を描き出す、というもの。「コスチューム」は創作ダンス大会である。


健康スポーツ学科というような「体育系学科」がそういうことに得手であろうことは想像できるが、全学規模の全員参加のイベントのようで、「教育」やら「薬学」なども体育系にひけをとらず見事なパフォーマンスを魅せるのである。


学科の個性というものであろう「食物(しょくもつ)学科」は「キューピー三分間クッキング」をBGMにしていたのには笑った。


最近の女子大というのは(って昔の女子大も知らないけれど)、こういうことをやっているんだ、なのか、最近の女子大にもこういうところがあるんだ、なのかは分からないけれども、感心して観ていたのであった。


だって、基本的に学科所属の学生全員がやる気にならなくっちゃ成り立たないイベントなんだから。なおかつ全学科がやる気になる必要のあるイベントである。


小中高生だって、なかなかまとまらない昨今である。


その完成度というのは、見事なものである。ビデオは頼まれた業者が固定カメラで淡々と公平にまったく演出なく撮影しているのであるが、それをアップやら舞台上のカメラなども使い、さらに練習中からのちくいちをドキュメンタリーとして編集したならば、どの学科のものであっても「小学生・35人36脚 全国大会」やら「ゴリエ杯 ダンス選手権」などにも引けを取らない感動の番組になるであろう、というレベルである。


そして、これが仮に男子大学生であったならば・・・と考えて、どうもこういう催し自体が成立しないように思えたのであった。するかも知れないけれども、女子大の方が成り立つ可能性が圧倒的に高そうに思えたのである。


スイングガールズの方がウォーターボーイズよりも高確率で成り立ちそうに思えるのである。


夕方の電車で「これから次のことをやりに行くのよ」というオーラを発しているのは圧倒的に女性が多い。男性は「うん、今日は終わったの」という影がさしている。


10年前のナホトカ号の重油流出事故の時、いち早くかけつけた山田和尚さんとともに、初日にひしゃくで重油をすくい始めたのは全て女性だったという。男は対策だ、バキュームだなんだかんだと理屈は言ってもなかなかみずからは動かなかったという。


そのあたり、女性は理屈じゃなく動いている感じがする。


今後、阪神電車で西宮南部でM女子大生らしき方々を観たら、尊敬のまなざしを送ってしまうであろうと思う筆者であった。しかし、観られる女子大の方々はおそらく「変な中年男がすけべな目で見ているわ」としか受け取られないであろうことも同時に確信する筆者であった。