1096話 体話 20 正しく困ろう

  

困っている人は多いが、きちんと困っている人は少ない


自分と相手(対象)の二つがそろわないと


きちんと困れない


我彼の二点が決まり


行くべき地点を決める


そこに行くには、我にも彼にも足らないものがある


そこで困るのが正しい困り方だ


そこには欲求が生まれ、意欲が生ずる


いろいろなメソッドを渡り歩き


セミナーに顔を出している人は


何もかもうまくいく方法を手に入れようとしている


そんな都合のいい方法があるわけがない


そんな打ち出の小槌があったとしたら


それは「不幸の小槌」だ


そんなものが手に入ったら、日々生きる意欲は減退し


前進の欲求は萎え、気力は衰え、


生きているのは嫌になる


ほんとうの打ち出の小槌があるとしたら


自分が「いかにできていないか」「どれぐらい足りないか」を明らかにできる「物差し」だ


これなら手に入る


最初はひんまがった、おおざっぱな目盛りだが


それを使って行けば行くほど


物差しはまっすぐになり、目盛りは小さく、正確になる


自分がどれぐらいできないかが正確にわかるぐらい


楽しいことはない


そこを埋める作業は生きている間しかできない(たぶん)


生きている甲斐がある


生き甲斐は「達成」にはない


不足しているからいいのである