1098話 速(そく)


今日は自然体チューニングとネクスト、そして鳥久で宴会というゴールデンデイである。


歩くということの可能性が無尽蔵に湧き出てくる今日この頃であり、そのごくごく一部をみなさんと稽古する。


身体運動に適切な「回転」が生まれると、上昇下降の軸ができる。すると動きの質が変わり、こわばりがみるみるゆるみ、軽快で力強い、剛柔一体、自由自在の風林火山の身体となり、濃淡はあるが軸が生まれる。


その「軸」をすぴんすぴんと回していくことでも、とっても素敵な身体状況が生まれる。


桃ちゃんのお姉ちゃんは、不調のよろいを全身にまとい、「首を回して下さい」と言っても、前を向いたまま鼻が直径4センチの円を描くだけである。こういうのは普通「首を回す」とは言わない。


首の運動、顔の向く方向に「上」がないのである。一日の中で上を向く時はなく、夜ふとんにはいる時のみ上を向くのである。すぴんすぴんと軸を回すと、くるりくるりんと連獅子状態になって京都へ帰られる。


いい道場になってきた。休憩時間に休憩するのは筆者で、みなさん黙々と歩く稽古をされている。


「この歩き方を断固身につけるのよ!」


という静かな気迫が空間を満たしている。


夕方からの「ネクスト」のテーマは「脳の中身を紙にあらいざらい書き出して、現状と夢を目標でつなぐ手法」


みなさん、せっせと書き出してね。「よし!」というものができたらご持参下さい。「よし!」というものができなくてもご持参下さい。


自分で書いただけでは進まない。宣言すること、共有することという手続きがないと、ネクストJrにもなれませんので。



鳥久には「テニスを通した整体体育研究部門」のお二人、「歩みを基本にした新しいヨガ指導者養成プロジェクト」のN川さん、「速読を中心とした脳力開発研究担当」のS本さんにサブのK藤さん、さらに桃ちゃんにO合さんらが参加。


一口ごとに、一品ごとに「鳥久経験者」は「大笑いし、絶叫する」のに対し、本日が「鳥久デビュー」のメンバーは寡黙になり、または絶句し、制御不能な心身状態となり、身もだえし(Y田)、硬直し(旧姓A崎)、顔を手またはタオルで覆い(旧姓A崎)笑顔のまま放心し(桃ちゃん)、フリーズ状態から徐々にソフトが起動しはじめると


「やばい、これやばい。めっちゃやばい」


と貧困なボキャブラリーで感想をつぶやくのである。


どちらかというと、お酒が好きだというN川さんは、生ビールで開会した後、熱燗へスライドしたと思ったが、さらにバックステップで生ビールに戻り、ご飯をさかなに焼酎の湯割りを飲む、という一般的に言えばわけの分からない飲み方である。


ご本人にかわって説明を加えると、一品一品のインパクトの強さに、そのたびに「その味と相乗効果を持ち、引き立て合うもっとも良い組み合わせの御酒を選択した」結果である。


鳥肉が大好き!というK山支配人に、全ての料理の写メールおよび鉄板の上でじゅうじゅうと湯気を立てる「モモ焼き」「ガーリック焼き」の「動画」を携帯に送るという提案がなされたが、検討をしている最中にも着々と箸は延び、料理はなくなっていくので、結果的に却下となった。


アイスクリームまできっちり仕上げて、新在家駅前で大半の「阪急JR組」と分かれ、阪神でS本さんと帰る。会話の話題の一つは「速読とその周辺」


速読と速聴の相乗効果、速読と「タマネギ炒めの身体性」の相乗効果についてはすでに述べた。


速読とバッティングとの関連で、「日常生活の最中には速読トレーニングはできないので、視界の中の認識しているものの数をとことん増やしていく」という「多視」のトレーニングのことをS本さんにはお話していた。


するとS本さんは今、「多聴」をトレーニングしているという。何人の足音を聞き分けるか?なんてチャレンジしながら雑踏を歩く。


タマネギ炒めは、複数の動作の身体性を同時にカラダにかぶせるということであるから「多動」と言える。


「速読」「速聴」「多視」「多聴」「多動」というラインナップがそろった。


ということ「速動」もあるだろう。


「速臭」とか「多臭」もあるかもしれない。「速触」や「多触」というのもあるはずだ。


要するに感覚器の稼動密度をとことんあげればよろしい、ということであろう。


速食と多食は、あまり役立ちそうもない気がすると、鳥久でさんざん「多食」した後だがそう思う。