一歩ずつでも

録画していた「夢の扉」(だったと思う)を見る。


シェリフ・エル・サフティ博士はエジプトの科学者。


ナノテクがご専門で「人に役立ってこそ科学」がモットーの先生だ。ナノテクを駆使して、ティーバック型の「飲料水中のヒ素吸着剤」などを発明し、井戸水に含有されているヒ素による被害になやむバングラデシュを助ける、なんてことをしている。


3.11の時はつくば大学だったかつくばにある研究期間で活動中。エジプトの家族親族から「一刻も早く帰国して」の要請に日本をあとにするけれども、自分の科学者としての発展の基礎を作ってくれたのは日本の人たち。


エジプトのテレビで見た福島の高校生たちの演劇のセリフの一節


「福島で生まれ、福島で育ち、福島で結婚し…」


に衝撃を受け、自分の専門分野でなんとか日本の放射能汚染解消に役立ちたいと研究に没頭。その結果ヒ素吸着剤をベースに「セシウムだけを選択的に吸着する吸着剤」を開発。


除染の結果出てくる大量の放射性廃棄物。置き場に困り、処分に困る厄介者だ。この吸着剤は大幅な減量と放射能の減少をもたらす。まず放射性廃棄物を焼却して減量化する。この時に煙りも、灰をそのまま水に溶かして内容物を水に取り込む。その水の中にセシウムを選択的に吸着するこの先生が開発した薬剤で残った灰の放射能を減らしていく。


焼却による減量化と水に溶かしてセシウムを吸着するという方法そのものは、今はゼオライトを使って行われていて珍しいものではないらしい。ただし、そのセシウムの吸着能力がサフティ先生の吸着剤の方が倍ほども性能がいい。


そして、その実験に使われたものは、いわば最初の試作品であり、今後さらに改良を続けていくというものらしい。


そんなエジプトの先生に感謝です。