267話 陸上部の田辺ッチが来る  

夜の個人指導の時間にU中学の田辺先生が指導を受けに来られる。お連れは田辺先生が顧問をしている陸上部の女性キャプテンのKちゃんだ。

Kちゃんはハードルが専門だが、昨年末には故障していて、階段は上がれない、しゃがめない、もちろん走れない。頭は痛い、腰は痛い、クラブをまとめるのにプレッシャーはきついわ、体調は悪いわという十重二十重の不調で、田辺ッチが「どないかなりまへんか?」と道場に連れて来た時には、三角座りをして膝に顔をつけて身動きもせず、という悲惨な状態。からだの調子を尋ねても、5つ尋ねて1つ返ってくるぐらいという痛みたっぷりへろへろ状態。

田辺ッチとはあしかけ3年ほどのおつきあいで、一昨年は頼まれて時々からだの調整をした4選手のうち、二人が全国大会に出場。その後の一年ほどは交流は途絶えていて、Kちゃんの調整を機に復活。

この3年、筆者が田辺ッチにお会いするたびに耳もとで「故障が先か大会が先かみたいなトレーニングしてたらあきまへんで〜」「快気法とニコニコマッサージを導入して、日本一健康的な陸上部を作りまへんか〜」とささやき続けていたのである。