505話 ♪夏からぁ 秋へのぉ 21℃
夏が終わって秋風が吹く、ちょうど今頃。筆者の愉しみは21℃と出会うことである。
筆者と21℃とのおつきあいは、かれこれ5年ほどになる。
一昨年まですんでいた伊丹のマンションの最寄りの幹線道路に、ダイキンエアコンの営業所があり、ちょうど交差点に向かって「電光掲示温度計」を設置していた。
これは、いかなる看板よりも切実にエアコンの必要性を消費者に訴える見事なものである。
電光掲示温度計は、交差点の東側にあり、行きがけは背に背負うのだけれど、帰宅時は信号待ちをしながら正面に見える温度計でかならず気温を確認する、という習慣がついた。
そして「あ〜今日はなんて気持ちいい気候なんだろう」と感じた時に温度計を見ると、実に高い確率で21℃なのであった。
そうして年間を通じて、たびたび21℃とお会いするようになり、いつしか筆者は21℃の大ファンとなったのである。
21℃にも「春物」と「秋物」がある。筆者のおすすめは何と言っても秋物である。最高気温は30℃を切るようになって少したったころの夕方5時〜6時ごろの夕暮れで、微風が吹いている時の21℃が何と言っても絶品である。極上である。生きててて良かったというのはまさしくこの気温である。
和歌山ではご近所に温度計がないので、目視による確認はできないが、長年慣れ親しんだ21℃である。言わなくたって分かるのである。
「今年もお会いできましたね。」「いやあ、お久しぶり」
という感じである。
ちなみに、ダウンジャケットのファスナーを閉めたくなるのは、冬の風のある6℃、風のない3℃。歩いていて倒れたくなるのは風のない夏の39℃であるが、これらの気温とはあまり仲良くなってはいない。