574話 生涯現役

明日から12月という今日、定例の生駒出張。

生駒山々も紅葉で色づき、駅からの道のりもやや肌寒い。


生駒線沿線のひらやさんのご実家にお母様の調整に伺うと、玄関先に盛り花、花束がどどどどどどどどとてんこ盛りに飾ってある。


ひらやさんのお父様は、書家である。長く教職をつとめられながら研鑽を深め、退職後もこつことと精進されて、個展を開くレベルでご活躍である。先日までその個展が大阪市内だったかで開かれていたのであった。


この花は、その個展会場を飾っていたものである。「●●先生 個展お祝い」なんていうカードが刺してある。個展が終わったので自宅へとついて戻ってきたのだ。


しかし、個展個展と言っても、この父君、御年95歳である。


筆者の年齢を倍にしてもまだ届かない。


すばらしい!人によっては95歳でも個展を開くぐらいの活動ができるのである。それもこじんまりとした短冊にさらさらではなく、超特大の和紙にわっしわっしというような作品らしい。

こういう生きた見本がおられると、自分の中にイメージが描きやすい。自分も精進しだいであと50年ぐらいは現役で楽しめるということである。


そう考えると、実に楽しい。って書いて、この平谷さんのお父君の年齢の話は以前書いたような気がしてきた。


そして以前感動した自分を忘れている若年性痴呆的な「け」があることを問題にすべきか、はたまた同じことであっても何度でも感動できるみずみずしい感性の持ち主であるとみずからを評価するかというと、もちろん後者である。


人に迷惑をかけない範囲であれば、筆者はみずからの幸福をなにより優先する。