581話 「当て馬」 予告編

「当て馬」という言葉がある。政治報道などの際によく使われる。


日本語・大語源辞典 というようなものを引くと(ってそういうものがあるのかないのか知らないけど、たぶんあると勝手に決めて)

当て馬(あてうま)

上杉謙信武田信玄の●●の合戦において、知謀に長けた武田信玄は、膠着した戦況を打破するために、林に潜む上杉方の出方をさぐるべく、騎馬武者の人形を馬に乗せ、敵方に走らせた。すわ、敵方の名のある武将の一騎駆けかと林の中の上杉方が応戦の動きを見せたためにその所在や陣形があきらかになり、武田信玄は劣性を跳ね返すことが出来た。

というようなことが書いてあり(って想像だけど)、転じて、

旺文社:国語辞典より

対抗者の出方を探るために、自分の腹心などを表面に立てること。また、その人(以上は本当に辞書を引いた)


という意味で使われるようになった。


というような語源の言葉だと言って、そう違和感を持たないと思いません?(上記、武田VS上杉の合戦の話は、たった今筆者が空想で書いた何の根拠もないたとえ話ですから念のため)


しかし、筆者はこの「当て馬」という言葉の本当の語源を知ってしまった。そこには悲しい哀しい物語があった。上杉と武田の華々しい合戦などとはまったく無縁の、悲哀にみちた拷問とも言える悲しい生き様があったのである。

ということで続きは明日。