645話 話題の中心
今日は、母方の祖父母の33回忌と17回忌である。
先日より車で実家へと帰り、奈良県香芝市のおじの家まで母と同行して出席。
おじさん、おばさんたちは、筆者からしていとこのお母さんお父さんだったので、その昔はいとこたちの名前を冠して「まちちゃんママ」「りっちゃんママ」「まこちゃんパパ」と呼んでいたのである。
しかし、その「まちちゃん」「りっちゃん」がすでに孫を持つ「ババ」であるので、ババのママであるので、大ババということになる。
母は4人女・女・男・女の四兄弟の末っ子である。
故の本日参加のおじさん・おばさんは、みな母よりも年上である。75歳以上、80歳を越えた兄弟の会話というのは、身体上の問題が圧倒的に多い。
入れ歯にするといかに食えないか論議、入れ歯安定剤の効果についてなどに関して活発な意見交換が交わされる。さらに軽食の後、おじおばおよび配偶者計5名が座る卓上には、数十の薬が取り出され、一人で4錠、5錠の薬をあっちでごっくん、こっちでごっくんとやっている。
そしてひとしきり「ピロリ菌」「抗うつ剤」「めまいの薬」などに関しての活発な意見交換が交わされるのである。
筆者は「余分な薬は飲まない方がいい」という論者である。免疫の安保先生の論を深く支持する立場である。おじさん・おばさんの議論の中身には心中、異論百出である。
しかしながら「あっちが悪い」「こっちが悪い」といいながらも、80歳前後の年齢で、一人で電車に乗っておじ宅まで出かけてこようという元気さはお持ちの方々である。法事終了後は、このまま連れ持って、三重の榊原温泉まで一泊で行こう、という方々である。
筆者がここで自説「投薬による免疫力低下その他 余分な薬不要論」を披露したとて、過去の力関係その他諸々の条件を考慮すれば、筆者の論には一顧だにされないことは明白である。
今日を境に薬の減量をはかろうと、健康維持のための方針を変更する可能性のある方はただのお一人もおられない。
これだけの薬を連日連夜飲まれながら、からだを壊してないというのは、けっこうなことであると思い返し、ここは黙って渋茶をすすり、老人医療の実体に関して、じっと情報収集をする筆者であった。