970話 11月の読書

鬼平犯科帳」 1巻〜19巻まで(現在20巻読書中)


とにかく面白い。火付け盗賊改めの長谷川平蔵と、「盗賊ども」
の戦いの日々を描く。名作である。読み返すのは5〜6回以上になるのは間違いないのだが、また読み返してしまった。


短編集になっていて、一冊につき5話ほど。特別長編が2冊ある。ということは60数話の物語が収録されているわけである。短い一話の中に「起承転結」「人情ほろり」がちりばめているため、展開が早く、冗長にならない。読み出すと面白いので、数話ないし一冊を一気に読ませてしまう。


これを書くと長くなるので書かないが、この本によって、徳川幕府というのは、そうか、関ヶ原時の軍事政権がそのまま平時の統治機構となっているんだ、という「しくみ」を理解した。(これは鬼平のおもしろさとは関係ないが)


小説は、流れ・筋書きが分かると読み返しに耐えるものは、よほど優れた作品に限られる。たとえば宮部みゆきの文庫本化されている作品はほぼ読んでいるぐらい「どれもこれも外れがない」と大ファンである。エッセイレベルなら「まだ俺の書いたものの方がましやんけ」というレベルの低い作家もいる中で、宮部作品については、「こういう話を書く人を作家と呼ぶならば、なんとレベルの高い仕事なんだ」と思っている。


その宮部作品でさえ、読み返し率となるとかなり低下する。もちろん推理小説・ミステリー系小説であれば、「読み返し率」を持っていいの悪いの言うことが的はずれではあるけれど。だって「犯人や事件の背景が明かされるまので息詰まる展開」は、二回目以後はないからね。


鬼平」の場合は、短編の集合体のために、間を空けて読み返せば、けっこう忘れているもので、まったく初めての話を読むように新鮮に楽しめる。


と、筆者は思っているのであるが、もしこれが、筆者の記憶力が人並み外れて衰えており、読んだはなから忘れてしまう若年性の痴呆のためだということになると恐ろしいので、やはり「鬼平」が名作だから、だと言い切ることにする。


うっ。

先日の「一ヶ月振り返り」に味をしめ、読書記録も付けておこうかなと書き出したけれど、一冊ごとこの調子で書いていくと、今日一日では終わらない。


後は書名のみ。

「蝉時雨」  藤沢周平

「日々平安」 山本周五郎

「THE MANNZAI」4巻 あさのあつこ

東京大学応援団物語」

などなど。