1064話 キーポイント

あらためていうほどのことではないけれど、バッティングであれこれからだの整えを試みてやってみたけれど、結局ボールとつながるということが一番大事だった。


講習していて、その人に手渡したものが、何に生かされるのか、どこで使われるのか、誰に伝わっていくのかが見える人に講習するのは楽しい。こちらも何を伝えたらいいのか、どう伝えたらいいのかということが分かる。


中身もどんどん発展するし、こちらからもどんどん引き出される


そういう参加者のありがたみは、そうでない現象を見て分かる。


何に生かしたくて来ているのか、どこで使うつもりなのか、誰かに伝わっていくのかが分からないことがあるお陰で、流れの先を持っていることがどれほど力になるのかが分かった。接点を見せることでどれだけ自分にメリットがあるかが分かった。


イチローは「ファンのために」という言葉をよく口にする。あれは本心なんだろうなと思った。



わがことだけ考えてやっている人は、わがことだけが変化していって、手渡そうとしている人にも、その人から手渡されるかも知れない人にも影響がいかない。だから事態が変わらないし手ごたえがつかめないし、やりがいにつながらないし、答えが返らない。


自分がうまくいってなかった時、やはり「自分」ばかりがあって、手渡してくださる方も、受け取ってくれる人も見えていなかったことが思い当たる。


バッティングでボールとつながることが大事と冒頭に書いたが、今日の練習では少し違った。


バットの氣を通して、その氣のバットの「芯」の部分にまかせてしまう。


「私」がバットを振るのではなく、ボールに向かって仕事をしようとするバットの氣ポイント(氣のポイントでキーポイントと当て字した)に「私」は全面的に従うのである。全面的に協力できたときには、会心(快芯)の当たりが飛ぶのであった。


バットとボールが流れの上と下であるということか。とにかくその二つを大事にする。「私」が意識的に工夫すると流れないのである。その二つは「その氣」がつなぐ。氣はつなぐが、意識では動かさない。まかせる、ゆだねる、やるんだけど、意識的に作為的にやらない。


うまく言えないけれど、そんな感じだ。