1086話 酸素と進化

先日、読売新聞の書評で「恐竜はなぜ鳥に進化したのか」という本を紹介していた。


紹介者は「生物と無生物のあいだ」の福岡先生。


「現在、大気中の酸素濃度は約21%である。

 しかし、過去の大気シミュレート研究は意外なことを明らかにした。3億年前酸素濃度は一気に30%近くまで急上昇した。このチャンスに生命は多様性を謳歌した。


方や、酸素が15%まで急落したしたこともあったのだ。このとき大半の生命は死滅した。しかし、たまたま酸素の利用効率を巧みに高める小細工に成功した生物があった。恐竜である。彼らはわれわれ哺乳類よりもはるかに効果的に呼気と吸気を交換する肺の仕組みを持った。それが高地でも棲息でき、長距離を飛行できる鳥の誕生につながる。


 あらゆる進化の動因は、酸素をめぐる生物の果てしない戦いの結果としたる。著者のこのグランドセオリーは、進化上の謎を気持ちよいほど見事な一貫性を持って説明する。
 
・・・以下略」


身体の中の進化の痕跡としての腰椎の特性をほじくり返しつつ展開している昨今の研究である。ここに酸素との戦いという角度からまたとらえなおしたら何が見えてくるのか楽しみである。


ところで、二酸化炭素濃度が上がることばっかりが話題になる温暖化問題であるが、大気中の二酸化炭素の割合が上がるということは、反比例して酸素濃度が低下するというであろうが、その影響に関してはまったく耳にしない。


なぜだろう。