1121話 自然体チューニング 中小企業に貢献する

機械屋さんの二代目、雄次郎さんが久々に休みが取れた、と自然体チューニングを受けにこられる。


午前中、足裏グリップと綿だま補正、さらに手のひらグリップテーピングを行う。


先日、腰をぎっくりとやってしまった雄次郎さんであったが、テーピングと補正の後、歩行時にほとんどかかとを使っていなかったことを実感し、しみじみとかかとを踏みしめているうちに、どんどん腰のバランスが取れてきて、痛みが消えていくんだそうだ。


さらに「手のひらグリップ」にテーピングして触覚強化を試みる。


休憩時、雄次郎さんが目を輝かして言った。


「あの〜、てのひらのやつですけどね。うちの会社の若いもんで、溶接とか下手なのがおるんですわ。テーピングはたぶん仕事のときにやってもすぐにはがれると思うんですね。ぶちぶちのゴムの滑り止めのある軍手がありますよね。あのぶちぶちをグリップラインだけ残してはめさせてみたらどうかと思うんですよね」

そこで筆者


「薄手でぴったりとした軍手を裏返して、グリップラインにゴムボンドでラインを書いたらどうでしょうかね」


「あっ、それいいかもしれませんね」

さて、速読も終わって都合のつく人7人ほどで食事をしていたら、ぴろぴろとメールが届く。雄次郎さんである。久々の休みであるが、帰宅後、さっそく「スーパーグリップ手袋」を試作し、溶接や溶断を試したらしい。


以下その際のメールである。


「帰って早速自分で特製軍手を作って溶接や溶断を試したところ、見事に足腰の安定性が格段に上がり、呼吸が安定し、手のぶれも少ない。一段上の加工になりました!明日 職人でも試して見ます。自然体チューニング恐るべしです!!!」

その試合に勝てばいい、という形で捉えているスポーツへの取り組み方よりも、いつも常に一定以上の水準の結果が出し続けるのが当たり前、という形で仕事をしている人の、身体に対する取り組み方の方が、上ではないだろうか、と思うこのたびの筆者であった。


技術系の仕事は「ミスして失敗」はあっても「まぐれの勝ち、たまたまうまくいった」はない。


ミスしたらお金もらえないもんね。


溶接の下手な職人さんがどうなったかが気になる筆者であった。