1137話 剣振り

客観視トレーニングがおもしろい。


最初は「がまの油 トレーニング」と言い、前にお出ましになる彼・彼女のことを「としお君」とか「ゆきこちゃん」とか個別のファーストネームで呼んでご本人と区別していたが、総称として「セカンドセルフ」という言い方を取りあえず採用した。


幽体離脱方式」とか「分け御霊」とか「前方霊」とか「アストラル体 分離方式」などと表現すると一部に歓迎される可能性はあるが、考案者の筆者がそっぽを向く可能性が強力なのでもちろん採用されない。(意味わかんないし)


朝の整体武術も、昼のヨガも、夜の整体教室も、このきわめて効果的で、物事の稽古・練習という方式を根こそぎ変えかねない(少なくとも当道場内では)方法を徹底的に実践・検証。


どれもこれも興味深かったが、特に夜の雄二郎さんの「木剣の振り」が凄かった。


あんなに怖い振りを見たことがない。


「火事場の馬鹿力」という言葉があるけれど、あの場合は、発揮される能力が主として「重力物の運搬」の範疇を越えない。


しかしながら、あの言葉の背景にある「みずから封印していた能力の限定を解除する」という部分が、剣振りの「速度」「バランス」「一体度」「統一度」「真剣度」「集中密度」などなどで一斉に解除されてならばあんな風になるのかも、というようなものであった。


もちろん、筆者はそのトレーニング(というか意識の持ち方のコツらしきもの)の発案者であり、人に厳しく己に甘いことに関しては定評があるので、「それ」を採用した際の結果に関しては、他の誰よりも評価が大きい方へと傾くのは必定である。


しかし、その「甘い部分」を割り引いても凄い。


空間に断層が走ったように見えた。


ぜひまた見てみたい、と思うというのがその証拠だ。