1145話 たびぐつ

今日は自然体チューニングと速読のダブル「特別講座」。


自然体チューニングで「足の裏をまともな状態に補正する」ことと「セカンドセルフトレーニング」を集中してやる。


昼食休憩後、淀川河川敷へ希望者は集合し「実際に歩いてみよう」の自主練習会。


一本足の高下駄、ぞうりのミサトっこなどを持参し、正しい自前クッションに補正された足が、ころがるような身体が喜ぶ自然な歩行を取りもどしたところで、それらを体験してもらう。


まず人気は、ほぼ全員が初体験の一本足の高下駄。天狗の履いているような下駄である。


ゆっくりと歩く限りでは見た目ほどは難しくないこの下駄である。しかし、履いたとたんにどの方もどの方も、すっきりと背骨が伸びて腰が入り、肩甲骨がゆるんで悠々と歩くようになる。


背中に「昭和」とか「東映」という文字が浮かぶのであった。


ふと思いつき、筆者がただいまご愛用の特別シューズも希望者には履いてもらう。


筆者がただいま最も「いい感じ」なのは「作業服屋さん」の店外ワゴンセールで500円少々でかった「たびぐつ」というぺったんこシューズである。


地下足袋ではなく、見方によったらブルースリーのカンフーシューズに見えなくもない、というような形状のものであるが、底は実用一点張りの「滑らないことにだけ生命をかけた」ような生ゴムにシンプルな横波線の底。クッション性はゼロでかかともまったく高くなっていない。


大工さんが履いているのを見たことがある。


このクツに履き替えたとたんほとんどの方は「足が勝手に前に行く〜」といいながら、みるみる一人だけ数十メートル向こうまで先へ歩いていってしまう。


クッション性も複雑な底の形も何もないので、地面の感覚と、そこに自分がどういうふうに体重をかけているのかということが正確に伝わってくるのだろ思われる。とにかく履いた人履いた人絶賛である。


しかし、実際のところこのクツがとびっきりいい訳ではない。機能面だけみれば、昔小学生だったころい履いた「うわぐつ」のバレエシューズと大差ない。


しかし、フラットな靴底で、滑らなければいいんでしょ、に徹したシンプルな「たびぐつ」は「何もじゃまなことはしない」のである。


それがどれだけすばらしいか、というのは、足の裏のクッションルートを尊重した「自然体歩行術」を学んだ方々には明確に実感してもらえたが、ただいきなり履かされた方々ならどうか、と思う。


ところで、Y田くんであるが、「その感触が忘れられない」と帰宅後すぐに「作業服屋」へ向かい「魅惑の紫色」のたびぐつをさっそくゲットしたそうである。


残念ながら試合の方が二試合で無念の敗退。でもかなりこれからのための収穫はあった模様。