1201話 やったこと

「やる必用のあること」をリストに書き出すよりも、「実際にやったこと」を書き出す方が、仕事ははかどる。


もちろん、この「実際にやったことリスト」は、「日報」のような形で「上司に見せるもの」のことではない。つまり、「私はこんな価値ある仕事もしくは大変な仕事をしたんだから、ちゃんと認めてね」というようなフィルターのかかったものではない。


人に見せても分からないかもしれないけれども、自分にはちゃんとやったことの軽重が分かるというものである。


「下半期 郊外店舗の新規出店のための重点施策について 報告書作成」というような、いかにも日報に書いていても「それらしい仕事」に見えて、その実、そこから何も発展することはないだろうなあと確信しているような仕事がある(たぶん)。


机の上、たな、引き出しに散らばってしまった文房具を一度かき集めて所定の箱の中に放り込み、とりあえず今すぐ必用でない書類は、ひとまとめにがさっと山にして、緊急な処理事項だけを表に出してくる、というような日報に書くのははばかられるような内容であるのに、やっておくと生産性はいきなり上向きのカーブを描くというようなことがある。(たぶん)


計画表には「報告書作成」と書きたくなる。わけのわからんごちゃごちゃしたものに、少しでもまとまりがつくように片づけるというようなことは最優先で書こうとはしない。


「実際にやったことリスト」の「やった項目数」が増えてくると、「いかにも」という「頭で考えた価値のある仕事のプラン」よりも「本当に自分に価値を持つこと」が書き込まれる(やる)割合が増えてくる。


それより先に、「やったこと」を書き出すのと書き出さないのとを比較すると、書き出すだけで処理件数が増えてくる。


まず量が増えて、次に価値の高いものを選び始める。


さらには、まとめてやった方がいいことが見えてきたり、一つの準備で複数の処理ができる段取りが見えてきたりする。質が向上する。


というような体験を、本日の講座ではお話しようと思ったけれども、できなかったのでここに書いておきます。