1211話 私の主張


「最近首がこってしゃ〜ないねん」と言って首を回すと、かちかちになる。


「いやあ、最近、よ〜汗をかくからかいなあ、筋肉がほぐれてよう回るねん」と言って首を回すと、ぐるりんぐるりん回る。


「暑い」と言うと感覚器の中の「暖暑温熱」の感覚を総動員して、懸命に「暑い」を探して、自意識がうそつきにならないようにしてくれているのが、身体である。


という意味のことは以前に書いた。


条件を設定すると、その回路を選ぶ。


この身体の機能を、暑さ寒さや首肩の運動にとどめておくのはもったいない。


たとえばこの文章を「しかし、そういう心身の機能を実生活に応用するのは実際問題なかなかむずかしいことで」と続けると、筆者は記憶のすべてを網羅して「なかなかむずかしい」という文脈をやすやすと成立させてしまうだろう。


「実際に生活の中でやってみると、考えるほど難しいものではなく」と書くと、筆者は記憶のすべてを網羅して、「さほど難しくない」という文章を完成させるのは間違いない。


今日、とあるミーティングで「○○さんが変わらない限り無理なんです」と主張するAさん。話の筋はまっしぐらに「だからとどのつまりは何をやっても無駄だ」につながっているように見えた。


Aさんは、筆者の活動や日頃の言動をご存じなので


「まっ、だまされたと思って、『○○さんも変わってきたし、メンバーもなんかつかんだみたいなんですよ』という言葉に続けて話ししてみましょうよ」


と話を振って、そこからミーティングを続けたら、ほんとにその場の話題は「メンバーも何かつかんだみたいだし、○○さんの扱いをこう変えてしまいましょう。その方が○○さんにとって自然だ」というような話に移ろっていったのである。


もっとも熱意を持ってその主張をされていたのが、だれあろうAさんであった。