1213話 あっ、それ違います
「Y田くんの15分」を読んだ同僚のK山コーチ。
道場にはめったに来れないかわりに、その日学んだことは徹底して執念で身につけにかかる彼である。
Y田くんが豹変したきっかけになったのは「ぴょんぴょん」
それは、彼の内面の相、身体の方向性などを読みとったら、とてもいい状態なのに、下向きの方向の意識が足りず、それを足したら円満に道具立てがそろうように感じたので「重心さげろよ、意識を下に伸ばせよ」と言う変わりに「ぴょんぴょん」飛んで見せたということである。
彼の身体が楽器だとしたら、ゆるんだ弦を指さして「ちょっと締めたら」というサインを送ったというようなことだと考えていただけば近いかもしれない。
いずれにしても、それは「その時の彼にとってのみ必用かつ有効なチューニング」が、うまくはまったということである。
ゆえに、無事重心の下がった彼は見違えるようなプレーを始め、そうすると「次に調整した方がいい動き」というものが出てくる。あの時は「前屈をちょっとしてみて」と「しゃがんでしまいましょう」の二つであった。
あくまでも「あの時」の「Y田くんにとってのみ有効であろう」と感じられたことを、ジェスチャーで伝えたのであった。
というような話は書かなかった。
ので、悲劇が起こった。
K山コーチである。彼は努力の方向性を間違った。
『道場にはめったに来れないかわりに、その日学んだことは徹底して執念で身につけにかかる』彼である。
道場に来られて、実際に体験・体感されたことを徹底して身につけにかかる分にはなんら問題はない。
しかし、彼は当ブログを「読んで」そうか!と思われたようだ。正確に言えば「勘違いされた」ようだ。
「ぴょんぴょん飛べば、俺も二日酔いの下柳からベストコンディションの藤川球児に変わるんだ」
と思われたようだ。
テニスクラブでY田くんと顔を合わせた時に
「ぴょんぴょんしても、いまいち効果がでないようなんだわ」
というようなことを告げたという。
『道場にはめったに来れないかわりに、その日学んだことは徹底して執念で身につけにかかる』彼である。
以下は筆者の推測である。
彼はレッスン中、ひたすらぴょんぴょん飛んだのであろう。
『道場にはめったに来れないかわりに、その日学んだことは徹底して執念で身につけにかかる』彼である。
おそらくレッスンを受ける生徒のみなさんには、K山コーチに「150年前に非業の死をとげたマサイ族の戦士の霊」が憑依したごとく見えていたのではないだろうか。
それ違います。