1224話 K陽高校空手部 団体戦第一回練習


K陽高校空手部。それはまだない。


あさちんと同じ空手道場のM村姉妹のまいちゃんはK陽中学の3年、みくちゃんは1年。


再来年にあさながK陽高校に希望通り合格し、さらに一年たつと(ようするに三年後には)


まいちゃん(3年)あさな(2年)みくちゃん(1年)


の三人がK陽高校にそろう年が一年だけある。


もちろん、あさなが合格するという仮定の話である。


仮定ではあるが、3人そろったら、その年だけ臨時で「空手部」を結成し、団体型に出場することができる。


型の団体というのは三人が同時に同じ型をぴたりと同じに動く。「シンクロナイズド・空手・型」である。


関西大会や全国大会に行くたびに、高校生のお姉ちゃんたちの「団体戦」を「いやん、かっこいい」とうるうる眺めていた和歌山空手少女隊だったのである。


3年後のために、まいちゃん、みくちゃん姉妹にも「はちみつ漬け 逆回転自動修正方式加算 動作名称明言方式」を伝え、一緒に練習する。


会場は姉妹のおばあちゃんがやっている社交ダンススタジオ。雑賀崎に近い海沿いのビルの4階なので、窓からの眺めが絶景である。


三時間があっという間。


もともと練習熱心だし、T本先生に正確な動作を習っているふたりである。自意識の力みが、感じること・観察することに転換されればすぐに「身についているけど表に出ていなかったこと」が出てくる。飲み込みはすこぶる早く、1時間後にはびしびしとした技がきまり出す。


三年後に結成するはずの「K陽高校空手部 女子 空手・型」の「チーム和歌山」の記念すべき第一回先行練習であった。