1268話

ネクストにてY田君と空手の型を通して身体の動かし方を稽古。


先日の府大会ではあっさり敗退。過去2年準優勝と3位という彼だが、今年になって「死ぬまで上達し続けるテニス」へ向かって大きく舵を切った。


過去の自分には負ける氣がしない進化の手ごたえなのだが、試合では見事に結果が出ない。


彼は今までと違う心身の使い方に取り組んでいる。練習や練習試合では「テニス人生において初めて出会うレベルのプレー」を日々数多く体験している。進化し続けていることは間違いない。


にもかかわらず当面の勝ちにはつながらない。


これをどう考えたらいいのか、ということを考えている。


そこで「なぜ勝てないのか?」と考えて、勝てるための方策の方へシフトしていくということが考えられる。もちろん、そういう要素の方向にも進んでいる。さらなるレベルアップに向かう方向である。


しかし、ここで「勝ってしまっていたらどうなのか」という方向で事態をながめてみるというのも一策である。


「勝負はやってみないと分からない」というのがスポーツの解説でよく耳にすることである。


しかし、彼の目指しているのは、勝つという結果と出会うことが必然になるレベルのプレーであったり、今までの勝負という概念そのものが消えてしまうようなレベルのものである。


今の段階で連戦連勝ということになれば、「今のやり方でよし」ということになる。


勝てないからよけいに、試合場では何が起こっているのか、何が行われているのかということを真剣に観察することになる。


実際に自分がやっていることを見つめることになる。


そのことの方が「死ぬまで上達し続けるテニス」との出会いにははるかに有益である。



目先の勝ちをひろったあさちんは、今空手をさぼり倒している。