1277話 ステップ ステージ
チャンスを待つ。機会を待つ。流れを待つ、時を待つ、時機を待つ。
きっかけを待つ。その時を待つ。
というような言葉の持つニュアンスが、さきほど、風呂に入っている時に唐突に変わった。
「それ」は来るものではなかった。したがって待っていてもしかたがない。
「それ」は「する」ものだった。
それはむこうにあるものではなく、今手の内にある、あるいは足下にある。
「その時 歴史が動いた」というのは、後世のNHKが言っていることで、実際には歴史が動いたのではなくって、誰かが動いたのである。
動く時は、どんなに急いでいる時でも、大きく歩幅を取ったとしても、一歩ずつしか動けない。
動いていないつもりでも、なにがしかの一歩は踏み出しているんだろう。
どうせ一歩ずつしか動けないのであれば、どんな一歩にするかだ。
「チャンスボール」は打つ構えができている人とボールの間でしか、「チャンスボール」にならない。
構えがなければチャンスは生まれないということは、構え次第でチャンスを増やすことも可能だ、ということだ。だったらチャンスは待つものでなくって作るものである。
待つのならいくつのチャンスがいつ来るのか分からないからストレスになるが、作る方なら自分の裁量でいかようにもなる。
すると、チャンスを得るというのは、まだ見ぬできごととの出会いではなく、今すでに手がけていることとの関係性をどういう関係に結びなおすか、ということにもなってくる。
今踏み出した一歩をどこにどういうふうに着地するか、ということである。
次のステージというものがあったとしても、上がるには一歩ずつである。
なんだ、あったり前のことじゃないか。