1289話 試合では…
言葉で表現したとおりに身体は動きを出してくる。(例外はあるけど)
それを日常意識していると、言葉に対してどんどん敏感になってくる。
中身も根拠もないことを口にしていたり、劣性を決めつける呪いの言葉を吐き続けている自分に気づく。
Y田君とテニスについて話をしていた時のこと。
練習では出てくる「今だ経験したことのないびっくりするようなプレーやショット」が、そのまま試合に出てこないのはなぜというようなテーマである。
彼は言った。
「試合では相手は何をやってくるか分かりませんから」
反射的に会話をさえぎった。
「ほんまに何やってくるんか話からへんの?」
「ほへ?」
「テニスちゃうん?」
彼が言わんとしていたことは「試合では相手のプレースタイルが最初は分からない」ということだったらしい。
今これを書いていて、なぜ会話をさえぎったのかがより明確になってきた。
「試合では相手は何をやってくるか分からない」と言ってもいい人もいるということ。
世界チャンピオン。
「言葉で表現したとおりに身体は動きを出してくる」と冒頭に書いた。
世界チャンピオンが「試合では相手は何をやってくるか分からない」と口にすると、身体には「だからあらゆる可能性に対して対処できる能力を養っていく」と響く。
そうでない人が「試合では相手は何をやってくるか分からない」というと、身体には「だからお手上げ」と響く。