1393話

I藤先生が、内面で三戦をしながら、いつものように軽く注意の言葉を生徒に贈ったら、やや大げさに言うなら、その瞬間教室が凍りついたように雰囲気が一変し、注意を受けた生徒がびくっとのけずるがごとくの反応したそうだ。


I藤先生、別に強烈にしかりつけた訳でもないので、生徒たちのその反応に自分の方がびっくりしたらしい。


M安先生は、生徒に「立って」の声をかける時に、内面で生徒の立つ気に声を変えたとたんに


「いや〜、あれは効きます」


と教室で感心した思いを語っていたけれど、今までになく生徒がスムーズに誘導にしたがったという。


いずれも相手のコントロールではない。


自分のコントロールの結果である。


教えた人が、道場で技ができるようになるということも、値打ちがある。だけど、こういう人と人が向かい合う職場や教育の現場で通用する、ということの嬉しさはまた格別である。


整体や武術に受け継がれた知恵の一端を、こうやって生身で体験された先生方が「今まではなんだっただ」と自然に振り返りはじめている。


そして、今までの道場で学ばれていた時の反応は「いつか使おう」「有益な情報だ」という傾向が強かった。それがいつのまにか「すぐに実行しよう、すぐに使おう」と「使い方を模索しはじめる」というものに変わってきているのを、当の教員のお二人は自覚されているかどうか。


でも確かに反応が変わってきているのである。