1432話 見てくれ
昨日の続きのような話である。
なぜ「へた練」は上達効果が促進されるのか。
たとえば、まっすぐに立つ、ということを考えれば良かったのだ。
まっすぐに立つ能力を高めたければ、どういう環境がもっとも良いか?
身近なところで言えば、電車の中である。揺れたり加速したり減速したりする。しかもそれが予想外のタイミングでやってくる。ここに突風が吹けばさらにいい。
平らなホールで、微動だにしない大地の上で、じっと立っていたって、立つ能力は向上しない。
立ってられないような状況になればなるほど、立てるようになるのである。
考えてみれば当たり前のことであった。
まっすぐに立っている「見てくれ」を作ることは、立つ能力を高める方法ではなかったのだ。しかし、スポーツ、勉強、生活のさまざまな場面で、「見てくれ」を作ることと、その能力が養われてることを混同している場面が多々あるのではないか。