おおおおお! 尾

昨今注目の背骨・脊椎・脊柱である。


道場にある骨格模型を、日々、後から前からなめ回すように眺める日々である。


「体の使い方」などを論じた本に「骨盤の上に背骨をしっかりと立てて」「バランス良く立てて」なんて表現にお目にかかることがある。


確かに、骨盤のあたりというのは、しっかりとしたプレートの感覚で、そこからにょきにょきと背骨が上に伸びている感覚はある。


が、が、


骨格模型やら、「人体の不思議展で買ったさまざまな解剖人体の写真集」などで観ると、背骨は骨盤の上には乗っていない。背骨は骨盤に「はさまれて」いるのである。


挟んでいる場所は「仙腸関節」と言って、そこはがたがたと「かみ合わせ」のようなものもあるのだけれど、それでもやっっぱり全体の構造としては「はさんで」いるのである。


つまり背骨というのは、骨盤の上に長く伸びているけれども、その根本は仙椎の部分で挟まれており、仙椎の下半分と「退化した尻尾の痕跡」などと解説される尾骨がごくごく短くくっついている。


イメージ。


竹刀を、そのつばもとで、挟むように持つ。この手が「腸骨=ざくっとした意味で骨盤」であり、手の下にはみ出しているのが「仙椎下半分」と尾骨である。


背骨をどう動かすか、という時、台の上に棒が立っていると観るのと、下の方を挟んで持っている、と観るのとでは全然試行錯誤の方法が変わってくる。


今月から「魚体操」を少しずつ導入して、足をゆらゆら揺らしてるのだけれど、厳密に言えば、魚で揺れるのは足ではない。


人間の尾骨は数センチしかないけれど、人間以前のご先祖様を見る限り、その尻尾は長大である。


トカゲの尻尾を切っても生えてくる話は、再生能力のすごさという話の文脈で使われるけれども、実際は「トカゲにとって、尻尾の有無は死活問題」だから再生するのではないだろうか。


魚の尻尾部分(ひれよりも後)を切ってしまえば、やはり泳げないから死活問題。獣もおそらく走る際には、尻尾によって微妙に(多大に)バランスを取っているように見える。


脊柱部分を動かしていると思って、背骨カバーである棘突起を背骨と間違えている感覚を修正しました、というのが昨今書いていることである。「無い骨は振れない」と言っていた訳である。


しかし、人の骨格といっても、頭や手足以外は、そう犬とも変わらない。脊椎や骨盤のかたちはです。


ということは、人の骨盤、背骨というのは、尻尾のある体に対応して設計されている、という見方ができる。


だから、ない尻尾を振るような要素を加えた方が、より質のいい動きができるのではないか、ということを(たしかず〜と前にも書いた気がするけれど)あらためて、強く思うのであった。


どうやったらいいのか、というのはまだ分かりませんけど。