ホテル月世界殺人事件「


【17日に後半部に追加しました】


立花中学1年3組で一緒だった(何年前の話やねん)丸尾拓氏が脚本、プロデュースの劇団Gフォレスタ「洋館ミステリー劇場シリーズ ホテル月世界殺人事件」を見に行く。


洋館ミステリー劇場というのは、その名の通りホンモノの「洋館」を舞台にして、実際に家屋の中を役者と観客が行ったり来たりというシリーズ。箱が小さく、30人とか多くて40人ぐらいしか一回の上演でお客さんを入れられなく、めいっぱい公演数を増やしても人気が高くて、ほとんどチケット発売日に完売らしく、公演直前まで予定の立ちづらい筆者には、今までは一度も見に行けなかったシリーズ。


今回は、「ひょうご共済会館」という会場の名前だけど、中身は現役で営業しているホテルが舞台です。その一室で殺人が行われ、地下一階の倉庫から、5階までを移動しながら、いろいろと謎解きを追います。


この芝居は、お客さんにただのお客さんをさせません。入場時に解答用紙を配られ、物語の中盤の休憩時間に「この殺人事件の犯人は誰か、その理由とともに述べよ」というものを書いて提出する、ということが義務づけられています。(当たったら抽選でプレゼントがもらえます)


だから、本気で「ヒントを聞き漏らすまい、見落とすまい」として入り込んでしまうしかけにもなっています。


今日が最終日なので、もうこの作品は観られません。だけど「そういう芝居は面白そうだ」と思われた方は、次回はホンモノの洋館「神戸S邸」で3月12〜13日、19日〜21日に「海野十三原作 海盤車(ひとで)娘」の公演がすでに決定しているらしいので、そちらをどうぞ。


詳しくはGフォレスタで検索して、ホームページで見てください。2月始めにチケット発売で、たぶん即日完売しそうです。(今回の公演もすべて完売だったそうです)


さて、今年の新大阪健康道場のレッスンは年頭に「あなたのパターンを変えないことには、何を習っても一緒だから、それを変えていくことをいの一番に据えてやります」ということを強調しました。


健康度が増すこと、快調度が増すこと、動きの質が良くなることなどを提案し、一緒に練習し、身につけて頂くというのがわが道場のグループレッスンです。


しかし、よくよく考えてみると、あなたのその肩こりも首こりも、心身の葛藤やストレスも、結局はあなたの身についた行動や思考や反射のパターンの結果です。(打撲のように一方的に他者からの攻撃によって引き起こされたものでない限り)


ということは、いかに、体を整えるためのいい方法や、意識の使い方を習ったとしても、その解釈のしかたや受け止め方自体が、あなたのその不快感を作り出しているあなたの受け止め方なのだから、そのまま素直にその成果が出るとは考えにくい。


極論すれば、肩のこわばりを減少させるすばらしい方法でさえ、独自にアレンジして(もちろん無意識にですが)肩こり増加法に変換してしまわないとは言い切れないわけです。


それぐらい、自分のパターンを変えるということは難しく、またそれを変えることができれば、結果をことごとく変化させていける可能性につながるすばらしいものなのです。


ここ何年かのGフォレスタさんの立ち位置を見ると、そこのところがいいなあと今さらながら思うわけです。


今回のホテルというのも、劇団で探してきたわけではく、洋館シリーズを見たお客さんから持ちこまれた話しであり、前記したS邸も所有者からの持ち込みです。


館シリーズでない、劇場を使う本公演の際には「ロールプレイング劇場」と銘打って、5つも6つも話の展開を用意し、芝居の要所要所に案内人・田中幸彦君(市立尼崎高校で私が三年I組だった時にとなりのJ組だった)が登場し「この続きにはAとBの二つのストーリーが用意されています。さて、お客さんどちらがいいですか」と多数決で続きを決めていくという「俳優にかかる負荷やプレッシャー3倍」というシリーズをやっているのです。


そのシビアさというのは、実にすべての公演で一回も演じられなかったシーンというのが多発し(覚えたセリフも費やした稽古もまったくの無駄になる)、さらに「ついにその公演で出番が無かった役者」まで出現してしまったという恐怖のシリーズなのです。


僕たちのやりたい芝居はこうですと、よくわからない自己陶酔を突きつけられるよりも、私はこっちの「とりあえず今回こんな話が持ち込まれちゃったので、全力でその状況に合わせます」という洋館シリーズや、「お客さんがこっちを選んじゃった以上は、全力でその状況に対応します、例え出番のない役者が生まれても」という追い込み方が、とってもとっても好きなのです。


さて、今回は「共済会館」という「清潔なお手軽なあまり高くないホテル」です。だいたい感じわかりますよね。


だから「築100年の建築物の重み」とか「レトロな内装がかもし出す雰囲気」という味方はなく、そこで昭和22年の物語を演じるのですから、けっこう無理がある設定です。


途中の部屋の移動も「木の手すりのついたらせん階段」などではなく、ある時はエレベーター、ある時は普通の階段です。舞台も「舞台のついた大広間」や「会議室やセミナー会場として使われそうな部屋」「地下の倉庫っぽいところ」などです。


客席の配置も、ぐるり役者を三方から囲んだり。


芝居に入りこみかけても、素に戻ってしまう環境だらけです。ではそうなったかというとさに非ず。犯人当てクイズの設定も、次第に本気で考える自分がいたし、階段の要所要所に立つスタッフの存在感もよく、まったく白けることなく、最後まで一つの作品として楽しめました。


来た話にがっぷりとチャレンジしていく、とても気持ちよかったです。ということで次回作も行こうと思っている筆者でありました。



【17日に追加】


ところで、いつも受付やっている「店長」こと桑田さん。「さばきの桑田」と呼ばれ、「仕訳の店長」とその名が関西一円に響き渡る彼である。


通常は劇場の入り口を入って、会場の入り口で受付し、会場内で空き席へと仕訳する「さばきの店長」である。が、今回は会場が「共済会館」という「ホテル」である。


ふつうに入ると、ホンモノのフロントがあって、ふつうに営業しているわけだからそれより手前でお客さんにコンタクトしなければならない。ゆえに、この冬一番!六甲おろしが吹き下ろし(だって神戸元町だもの、ほんものの六甲おろしです)粉雪の舞うホテル前に陣取っている店長でした。


黒のタキシードっていうんでしょうか?蝶ネクタイを締め、どうみても「ホテルマン」のスタイルでにこやかに


「ホテル月世界殺人事件にお越しのお客様でしょうか?」


と声をかけながら、オープニングシーンのある5階へいざなうべく一回ロビーエレベーター前に陣取る次なるスタッフに引き継ぐ彼でした。


お客さんを誘導して、ホテルのドアへと向かう彼の背中を見て私は感動したのです。


その背中には「誠意」という大看板が取り付けられているようで、彼の横には「ホテルマン」というフリガナが打ってあり、足跡には「お客様命」と刻印されているかのようでした。


骨の髄までホテルマンになりきっている彼を見て、もちろんホテルマンのスタイルで「お迎え」をするのですから、意識していないわけはないのですが、しかしそこに感じた雰囲気は「ホテルマンのようにやろう」とする彼ではなく、ほんとうにホテルマンがいたのです。


こう書かれても嬉しくないかもしれませんが、Gフォレの作品は、個人個人の誰がうまかったとか、誰の演技が不自然だったとか、そういうことが気にならないのです。確かに達者な客演さんもあれば、まだまだ力を付けてほしいなという劇団員もあったりはします。そういう見方をわざわざしたらです。


受付をして、役者以上に役になりきらせる。店長は別格でしたが、エレベーター前の青少年も、階段誘導のメイドさん軍団もまた役者の熱演とともに、よってたかって演劇空間としてはきわめて不利な「現代のホテル」という状況を「昭和22年の謎解き」を楽しめる空間へと転換させる重要な主役の一人だったのでありました。


Gフォレの寄せ集め総合力は楽しいなあと、心から思う津田でした。


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