金華山沖玉手箱 漁業支援
石巻市の北部、太平洋にひさしのように突き出た牡鹿半島。その先端には金華山という島がある。
牡鹿半島の南面、仙台湾に面した中ほどの小さな浜を4つ合わせて「表浜」と総称する。
壊滅してしまった漁業支援に、絆の仲間たちもジョイントして「金華山沖玉手箱」という支援が動き出した。
簡単に言うと一口1万円の募金である。ただの募金でないところは、見事漁業が復活した暁には、表浜から玉手箱(水産物)が届くという仕組みになっているところだ。
ホームページに正直に書いてある。一年先かもしれない、二年先かもしれない、三年先かもしれない、届かないかもしれない。
山のように届くかもしれない、スズメの涙かもしれない。
でも、こういう募金っていいと思いません?行き先が明確で使い道が明確で、何年か先に水産物が届いたら、私の募金は役に立ったんだということを実感できるし、それを楽しみにできる。
支援が多く集まるほど、漁業の復活は早くなるだろうし。
一刻も早く被災者の役に立ってほしいと願う多くの市民の善意が、ほとんど機能していない日赤の募金なんかより200倍ぐらいいいと思う。
さて、どこもかしこも壊滅している三陸漁村の、一地域だけをこんなふうに応援していいのだろうか。不公平じゃないだろうか。
いいのである。復興を願うなら、どんどん格差を生み出していくべきなのである。復活した地域をとにかく生み出すことなのである。どこかが先陣を切る必要があるのである。
4月ごろの絆メンバー・マッドバスターズ(ヘドロ除去部隊)は、市内・市街をやっていた。大街道とか釜会館とか製紙工場のあっちだこっちだ、というような単語が飛び交っていた。
めどがついてきたら、黒さん・助さん・とーるさんらは、すぐに「もっと困っているところ」を探して突入していった。その一つとして牡鹿に来た。表浜に入った。
表浜のがれきが減ったから田代島や金華山に行けるのである。金山の水害にも行けるのである。
めどがついてこそ、次が浮上するのである。めどをつけない限り次へは行けないのである。
だから、最初は不公平でもいいのである。
ただし、条件がある。長期間支援していくぞという構えの有無である。自らの活動によってアンバランスが生じたら、そのアンバランスを解消すべく活動するぞ、という覚悟である。
日本赤十字さんは、誰もその覚悟を持つ人がいなかったから、募金を大量に手元に抱え込むことになったんじゃないだろうかね。