河村茂雄さんという先生のアンケート
テレビで「河村茂雄」さんという教育の先生のことをやっていた。
アンケートで学級の状態を浮き彫りにする手法を試行錯誤の末開発して、年間に350万枚のアンケートが教育現場で使われているらしい。そうやって現状の問題を明らかにして、状況を改善して、結果としていじめを減らしたり、学級崩壊を防いだり、改善したりといったことにつなげていける方法らしい。
良い仕事をしているなあと感動した。
そのアンケートが万能だ、なんてことは思っていないし、わからない。そのアンケートだけを見て決めつけるのは早計だというような見方の方も多かろう。
でも、現状をはっきりと自覚するということは、こと身体の操作や調整の世界では必須である。観察の力や自覚の力が何より大事で、正確に自覚したとたん、身体は改善の動きというものが出てくるようになってくる。
「こうなっていると思いこんでいる」ことぐらい、やっかいなものはない。現実をみないからいっこうに改善していかない場面はざらにある。というか、その解除ばかりをやっているともいえる。指導者クラスなんかでは特に。
自殺者が出たから「いじめ根絶!」とかいうのは遅いし、暗い。いじめを無くそうとして取り組まれることと、学校や学級が楽しくってしょうがない状態をせっせと高めていった結果、いじめも学級崩壊も存在しようがなくなったというのとでは全然違う。
年間350万部ものアンケート用紙が発行されるというのは、多くの教師が「使える」と思ったからだろう。アンケートはしたものの、いっこうに改善できない、してない教師だってものすごい数がいるとは思う。
けれど、やっぱり良い仕事だと思う。350万部のアンケートは複数回使用されたものも合わさってのことだろうから、ざっと100万人にアンケートが配られたと仮定する。
その中の1パーセントだけが改善したとしても1万人である。2パーセントなら2万人である。
学校も学級もつまらなくてしょうがない、という子どもが「ちょっと面白いかな」と感じたり、可も不可もない程度だった子どもが「行きたくってしょうがなくなる」など程度はいろいろだろうけど、何千人か何万人かの子どもの目が、そのアンケートがあったことで生き生きと輝くようになっていたとしたら、やっぱりすばらしいと思う。
このアンケートで目指しているのは、「学級の成績が上がった」という一つだけの物差しの世界ではなかった。1人1人が主役になるということを、口先だけのきれい事としていうのではなく、数値化してグラフ化して、ほんとうに目指して作っていったということが番組を通して伝わってきた。
刺激を受けた。視点が変わった。ありがとうございました。