地を這う広報室

筆者の昨今の楽しみの一つは、航空自衛隊広報室の日々を、新垣結衣扮する帝都テレビディレクターとのからみで見せる「空飛ぶ広報室」である。


有川浩の原作も面白かったが、かなり原作に忠実にセリフなどを残しつつ、やや違った展開も見せるテレビ版であるが、録画してせっせと繰り返し見る日々である。


広報室の面々の苦労や苦心や思いは、原作のほうがたくさん書き込んであるので、原作を読む+テレビを見る、の今回のアプローチには、いたく満足している筆者である。


先日のW杯の本大会出場を決めた後の渋谷の交差点。集まった人たちのお祭り騒ぎが、時に常軌を逸して騒乱ともなる過去を繰り返していた。


で、同じ轍を繰り返すまいと百人体制の機動隊で交通規制に乗り出した警視庁である。で、ここで指揮車の上で誘導のマイクを握るお巡りさんが傑作だった。のほほんとした語りで

 「こんないい日におまわりさんも怒りたくありません。皆さんは12番目の選手です。日本代表はルールとマナーを守るフェアプレーのチームとして有名です。12番目の選手である皆さんルールを守って、おまわりさんからのお願いです」


 「皆さんがそのように交通ルールを無視していると、おまわりさんからイエローカードが出るかもしれません。目の前の怖い顔をしたおまわりさん。皆さんが憎くてこういうことをやっているわけではありません。心の中では日本代表のW杯出場を喜んでいるのです。どうか皆さん、おまわりさんの言うことを聞いてください」


「お巡りさん、いいぞ!」


の声に対しては


「ご声援ありがとうございます。ですが、ご声援いただくよりも、みなさんが歩道にあがってくれたほうがずっと嬉しいのです」


テレビで見ていて爆笑だった。


このお巡りさん、第九機動隊の広報係の警官だそうだ。


一方的に規制の声を投げかけられると反発も出るだろうけれど、このお巡りさんのように交流されると、暴発のしようがない観衆だったのだ。


ボコボコにされるタクシーも作らず、無駄に暴れて逮捕される人も生まずで、警視庁機動隊出動による治安の維持という目的を見事に果たしたお巡りさんであった。


お見事である。あっぱれである。


空飛ぶ広報室では、空井さんや比嘉一曹ががんばっているけれども、地を這う機動隊の広報係もがんばっているのである。


追伸、いなぴょんが圧倒的に可愛い「空飛ぶ」だけど、次点は坂手カメラマンの号泣キャラ。