264話 ポルターガイストエアコン  

と言っても別に怪奇現象の話ではない。大阪道場のエアコンの話である。

さて大阪道場の空調というのは、ときどきバキッと音が出る。さらにバキッバキッ、バリバリバリバリというポルターガイスト現象のような騒音が出ることがある。もちろん心霊現象ではない。ただの故障というか不調である。

音は派手なわりに温風の出は極めて悪く、電気代は高い。真冬にはハロゲンヒーターを併用して午前中いっぱいかかってやっと暖まるかな?というていたらくである。午後になると日光が差し込むので、空調が効いてきたのか日光の温室効果なのかよくわからない。これでは空調の役目をまったく果たしていない。

この冬は「気のトレーニング」を重視してクラスを進めていたので、ゆったりと横になっていただく時間が長い。冷えてしまったのでは何のための健康道場かということである。

大家さんに「この空調なんとかしてださいな」と申し出ても、のらりくらりのはぐらかせていっこうに腰を上げてくれない。

水曜日の夜にご夫婦の会員が整体を受けに来られた。奥さんの方は時々日記に登場する劇団オクトプラスの役者さんである。ご主人は公演の時には照明をされる。(劇団員ではない)そういう出会いの末のお夫婦である。ご主人Mさんは本業はコンピューターの専門家で、システム設計や専門学校の講師もやり、またご実家は電器屋さんという、実に理系的環境の方である。

Mさんの調整が先に終り、奥さんを整体している際に空調がバリバリと音を立てた。するとMさんはかばんからドライバーを出すと、テキパキと空調のふたをあけ、中の点検を始めた。

奥さんの調整が終ると、Mさんは空調の状態を「○×△が◎×○○で」と説明してくれた。(「」内はよく理解できなかったので伏せ字となっております。)よくわかったのは「この空調は温度調整の機能が壊れていて、暖まらないけれども内部では時々電気の火花が飛んでまっせ」という衝撃の事実でありました。

大家さんに「エアコンから火花が出てますがな。火事にでもなったら空調を修理してくれない大家さんのせいでっせ。」と脅しの電話をかけると、なんとも迅速に管理会社社員と電気屋さんを差し向けてきた。

応急修理も終り、近々取り替えの予定で話は進んでいる。大阪道場のみなさん、近々より静かで暖かい道場になる予定です。お楽しみに。

それにしても持つべきものは理科系の知り合いである。そして知らぬが仏である。この日のこのタイミングでこのご夫婦が整体を受けに来られなければ、おっそろしいことになっていたかもしれない。