280話 口語体日誌

たとえば先週の土曜日。稽古日誌にパソコンで打ち込むとすると以下の感じとなる。



講座前の早朝稽古で、S君と一対一で武術的な身体操作の稽古をした。従来通りの合気上げなどの動きを、繊細に感覚稽古としてやろうと思ったが、基本に帰って倒す倒されないにこだわらない快気法での練習を提案。

最初は両手持ちの快気法による崩しを練習していたのだけれど、何かの拍子に「後から羽交い締めにされた状態でやってみようか」ということになる。

やってみるとこれがおもしろい。羽交い締めにされた状態でも快気法の状態になると、抵抗感が消えて体が自由に動く。動いているうちに格闘技の寝技、レスリングのような動きになっているけれども、そこにずっとある種類の気の感覚が働いていて、勝ち負けにこだわらないエネルギーの交流のようなものがある。

羽交い締めが外れて、手が首を決めるような動きになるのだけれど、本来「やられた、決められた」というような感触のする場面である。しかし、何かそこに「生命の危機」というような感じがなく、続けているうちに相手の体が行きたがる方向性のようなものが感じられるようになり、その方向に動きを合わせていくと、結果的に技になってその「レスリング快気法」が終る。

非常に爽快で、興味深い稽古だったので、おそらく来週以後も試みることになろうかと思う。