281話 文語体日誌

ところがこれだけの内容を手書きするとなると、なかなか時間がかかってかけない。これは講座前の自主練習の時間のことだけなので、これに朝のクラスの記録と気づき、昼のクラスの記録と気づき、整体の記録と気づき、と書いていと、時間がいくらあっても足りゃしない。

でも書きたい。しかし実際に書き出すと書きたい中身にスピードが追い付かない。それならパソコンに入力すればいいじゃないか、ということになるけれど、そこに微妙な抵抗感がある。その時の文字の感じやら、ノートの古び具合、突然ある文字だけ赤線で強調したくなる、そういう気分やらなんやらをページという具体的なものの上に残し、後々にふっと来た時にぱらぱらとめくり、ふと目についた所を読み返す。稽古日誌というのは、そういうものだ、という感じがあって、どうもパソコンではやる気にならない。

さて、土曜日の稽古日誌を手書きで書くとすると。


S澤氏と武術練習ス。感覚稽古ではなく快気法にての練習を提案。両手取より始め、羽交い締めへと移行ス。レスリングか寝技のような動き也。されどレスリングに非ず。快感覚あり。一体感あり。勝負にこだわる心、無し。一体化したものの方向性見えり。そこに動かば、技となり、双方「終り」を感じるもの也。爽快なり。次週も続けるもの也。

4分の1で終ってしまった。


連載4回の親知らず編を文語で書いてみよう。


親知らずを抜く。体すこぶる軽し。内面もまた変わるもの也。A氏に会ひ、疑問氷解す。


100分の1(?)に減ってしまった。