288 引っ越し疲労症候群

明日が第1回目の引っ越しである。第一弾である。朝の8時に「引っ越しのサカイ軍団」が大挙して押し寄せるという段取りになっているらしい。積み込みには昼過ぎまでかかるようだ。

ということでNHKの朝の連続テレビ「わかば」の明日放送分はどうも観られないらしい。

軽い狭心症でたおれたわかばのおじいちゃんのその後も気になるところである。また時折体調がおかしい、というわかばのその後も気になるところである。

しかし、わかばがドラマも終盤を迎える今、また悲劇につぐ悲劇には決してならないであろう「朝ドラ」という環境の中で、「主人公不治の病で倒れる!悲しい結末」という展開がないであろうことはおおかた予想がつく。話の展開からして、もう「わかば妊娠」おじいちゃんはひ孫の顔を見る、田中裕子はおばあちゃんになる、といいう展開を多くの視聴者は見抜いているだろう。

だから、明日の放送分が抜けても、致命的なダメージは受けないだろうことは予想される。「ええっ、何で〜!」ということはないだろうと予想される。ここまでは他の「わかば」をご覧の方々にも共感を得られるだろう。

しかし、私はもっともっと安心している。わかばは絶対に妊娠しているのである。そして無事出産するのである。

何ゆえそれほど確信に満ちているのか?「お前が妊娠させたんか!」ということではない。

実は、知人の知り合いの関係者というぐらいの関係のところの赤ちゃんが、先日「わかばの赤ちゃん」のオーディションに合格し、出演したのですわ、という情報を得ているのである。もちろん赤ちゃん本人の希望ではなく、親が勝手に受けさせたのである。

薄給で有名なNHKであるが、こういう「生まれて間もない赤ちゃん」にどの程度のギャラが支払われるのか非常に興味があるが、そこまでの情報は流れてこなかった。

また、この赤ちゃんが「生まれて初めて稼いだお金」というのが、本人名義で貯金されるのか、闇から闇へと葬られるのかに関する情報も流れては来なかった。

話はすっかりタイトルとは違う方へと行ってしまった。

本題は引っ越しである。今日一日せっせと荷造りをしたのである。荷造りに掃除にと一日を費やしたのである。

およそ、自らの過去を振り返ると、引っ越しや大掃除というのが大の苦手であった。あの種の「非日常的生活関連肉体労働」を始めると、ものの二時間もするとすっかり疲労困ぱいしていたのである。

目が落ちくぼみ、思考力が低下し、視線が遠くに泳ぐようになる。はっきりと「疲れた」と自覚するのである。ひたすら一服したくなり、二服三服していても疲れたまんま。

筆者はその症状を「引っ越し疲労症候群」もしくは「大掃除疲労症候群」と呼び、「これは持病だ、一生つきあっていけなきゃならねーだ」と諦めていたのである。

そして今回の史上最大の引っ越しを前に、昨日までもひそかに「大掃除疲労症候群」の発症を恐れ、短時間だけ「ちまちまっと」荷造りをするにすぎなかったのである。

しかし、今日はそうは言ってられない。なにしろ明日朝8時にはサカイが来るのである。荷造りできていませんでは済まないのだ。

ということで今朝は8時半に作業を開始した。昼は1時間ほど休んだが、夕方まで着々と作業にいそしんだ。しかし、疲れないのである。発症しないのである。1時間ごとに洗面所に行き鏡を見たが、過去の大掃除の時のように目が落ちくぼんでこないのである。思考力が低下しないのである。視線が遠くに泳がないのである。

着々の結果、予定を大幅に上回り、夕食時にはメドがついてしまった。

うれしい。これは30代よりも20代よりも元気ではないか。でもいったい何が良かったんだろう。