293話 引っ越し完結編

これは困るのである。実に困るのである。引っ越しを頼んだこちらは、引っ越し先に行かなければならない。でないと荷物をどの部屋にどう入れたらいいか説明できないからである。

しかし、積み込み終了は昼過ぎと信じて疑わなかった津田家では、3人の子どもを登校させ「念のため、昼前ごろに早引きして帰ってくるように」と指示を出していたのである。

かくして、子ども達の学校へ連絡を入れ、教頭先生が各教室を回って子ども達に「今すぐ、即刻、帰宅すべし」と有無を言わさず強制執行して下さったらしい。

ちなみに長男は家庭科実習で「ハンバーグをつくろう」の下ごしらえをしただけで、デザートに「ハーゲンダッツの賞味期限ぎりぎりのやつを格安で手に入れた!」という楽しみも果たせず、ミンチだらけの手でハンバーグとハーゲンダッツに未練を残しながらも連れ戻された。

ちなみに長女はテスト中で「最後の一問の長文問題の回答を答えが分かって、今から書けばおしまい」というところで強制連行された。

かくして、荷造りには何日も何日もかかったあの膨大な荷物は、わずか90分少々でサカイの4トン車に積み込まれ、とっとと和歌山に向かって旅立ったのであった。

「和歌山には1時までには行きますから、それまでは突入しないでね。」と長尾隊長とは約束している。子どもたちが帰ってきたところですぐに和歌山に車で移動。約100キロの道のりである。

ノンストップで高速を走り、岸和田サービスエリアで「パンダマークのトラック」を発見。長尾隊長は悠然とトラックでお弁当を食べていらっしゃいました。

さて、和歌山の家の方にはトラック定刻に到着。3階建ての2、3階部分。積み込み時は4名体制だったが、不要品の処分に1名が行き、スタッフは3名。さらに家具の組立なども含めての手間のかかる作業にもかかわらず2時間半強で作業終了。

実に実に見事な引っ越しっぷりだったのである。

い〜い仕事してますね〜。長尾隊長。
勉強になりまっせ、引っ越しのサカイ。
ほんまでっせ、そうでっせ。