317話 NHK受信料不払いには反対 1

実は筆者も、プロジェクトXの電話取材を受けたことがある。

ことの経緯はこうだ。

取材のテーマは「日本海重油流出事故」。ナホトカ号の沈没事件である。事故当時、ちょうどヨガの会社をやめて時間があった筆者は、前年の阪神大震災の時には、神戸の近くに住みながら被災地に対してほとんど何もできなかった、という負い目から、せっせと日本海に通っていた。(だから、尼崎のJR事故で生き残った人が、救助を何も手伝えなかった、とか自分に責めさいなまれるという心情が起こることは良く分かる気がする)

その際に、阪神大震災の時に生まれたボランティア団体、神戸元気村代表の山田和尚さんと知り合った。また山田さんの知人で、水族館のイルカを救えプロジェクト(通称・ドルフィンプロジェクトと呼んでいた)のリーダーだった岡山の俊さんとも知り合った。

日本海がきれいになって数年後?だったか、プロジェクトXでも取り上げることになったらしい。

山田さんは、あの事故の際、まっさきに神戸から駆けつけ、率先してひしゃくで重油をすくい、また行政と地元民間人と一般ボランティアが連携してのボランティアセンター立ち上げに奔走した方なので、当然NHKは山田さんを取材する。

しかし、山田さんはボランティアといっても「プロ」と言っていいような人なので、番組の主人公にはしづらい。とてもやれそうもない人がやれないことに挑戦しなければストーリーとしては面白くないからだ。山田さんがいなければ、あの日本海のボランティアの様相は大きく変わったと言っても過言でないだけのことをされていた。しかし、いかにやりそうな実績と実力がある人が、やったのではプロジェクトXにはならない。

山田さんは、ドルフィンプロジェクトを番組として取り上げるようNHKに言われたようだ。確かに、ドルフィンプロジェクトは、イルカ救出という一つの目的のために、関係者、ボランティアが一丸となった、陳腐な言葉だけれど「感動のプロジェクト」だった。