328話 川で遊ぶ など

久しぶりの休みなので、昼前から紀ノ川に娘二人とカヌーに出かける。前回は夕方だったので、川から陸へ吹く風に流されて「のんびり」という訳にはいかなかったが、今日は風も優しく快調。

カヌーを漕ぎだそうという時はちょうど満潮。南海電車の鉄橋付近をのんびりと漕ぐ。

漕ぐのをやめて流されるのにまかせていると、橋の下に流れ着く。ちょっとした中州だ。ちょうど引き潮のようで中州が少しずつ広くなっていく。いわゆる「干潟」状態の部分である。

娘達と上陸する。と、そこは「カニの楽園」であった。1〜2センチぐらいの超小ガニが大量にいる。3〜4センチの中ガニがちらほら。がさがさっと近づくとあっというまに穴にもぐってしまうのであるが、こちらも静かにしていると、ぞろぞろと穴から出てくる。そしてぞろぞろガニは万歳ダンスをしているのである。

カニはまず左右のはさみを口元に運ぶ。干潟の砂を食っているようなのである。それを3〜4回くり返す。み〜ぎ、ひだり、み〜ぎ、ひだり。それで「み〜ぎ、ひだり」の後に両方のはさみで万歳をする。この万歳の意味が分からない。しかし、ぱっと目に入るカニがみな、「み〜ぎ、ひだり、万歳」なのである。

しばらくザ・ピーナッツとともにモスラを呼ぶインファント島の住民たちのようなカニをながめていた。(♪モスラ〜やっ、モスラ〜♪ ってやつ)

それにしても多い。穴を数えると1メートル四方(1ʄ)に50やそこらのかにの穴がある。おそらくは穴の数だけはカニがいるのだろうが、地上に姿を表しているカニだけでも20〜30匹はいる。

まだ潮は引ききっていないが、カニの穴は川に沿って30メートルやそこらは続いている。幅は10メートルはある。小さくみてもこの干潟は300平方メートルはある。1平方メートルに30匹としても、橋の下のこの一角だけでざっと10000匹のカニがいる、という計算になる。

「これが全てタラバガニだったら…」と頭に浮かぶ。「タラバガニとまでは言わない。松葉ガニだったら」とも頭に浮かぶ。

「超破格です。松葉ガニが5杯入って何と1万円!」というテレホンショッピングで販売したとする。5匹で1セットだから、ここにいるカニだけで2000セットができる。2000万円の大商いである。たちまち大金持ちである。

っとこういうふうに経済でしかものが観られない心情が、環境を破壊しているのである。反省。

夕方は、近所ではないけれども、わざわざというほど遠くないところへラーメンを食べにいく。和歌山市内で食べるラーメンではあるが、いわゆる「和歌山ラーメン」と大々的にやっているところではない。しかし細麺でスープの色など、やはり和歌山ラーメンという感じである。けっこう満足し、紀ノ川沿いに車を走らせ、夕焼けと川面にジャンプする魚を見ながら帰宅。