349話 Pの悲劇

またまたトイレネタである。

週に2回ほどは尼崎の実家に泊まる。夜のクラスがある日や整体が遅くまであると、和歌山に帰ってもすぐに寝るだけであるので、一人暮らしをしている母親のところに顔見にがてら泊まるのである。私はカラダが楽だし、休日に様子を見にいく必要もないし、私にとってはいいことだらけである。

実家に泊まった日は朝は阪急電車で道場へ通勤。先日「大便がまんしてトイレに駆け込む話」を書いてしまった。書くという行為は、漠然と考えたことをくっきりと整理する、という行為である。あれを書いてから筆者は「少しでも気配があったら、ちゅうちょせず、トイレに行く」ようになった。

ということで、塚口駅でもよおし、ちゅうちょなくトイレに行った。もちろん「大」である。

トイレ新設工事中のため、仮設のトイレで、和式であった。重心を下げ、足首を柔軟にする和式のトイレというのは、実は日本人のカラダの健康にとって非常によろしい、というのがミュートのカラダ理論である。(詳しくは河野智聖著:BABジャパン社刊 『日本人力』 を読んでね)

私は財布をジーンズの後ろポケットに入れておくことが多い。ここに財布を入れておくと、取り出しやすくしまいやすい。ふだんは何も問題がないのだが、唯一困るのが和式のトイレの時なのである。

財布がしっかりと深くポケットに収まっている状態でズボンを下げると、しゃがんだ時に膝の裏に財布が当たって痛いし、膝を曲げにくい。あの瞬間というのはできれば無念無想で排泄の快感に浸りたいというのは誰しも思うことであろう。膝裏の痛みがそれをそこねるのである。

そのあたりをずさんにして、あるいは「一刻を争う事態」に大急ぎで取るものもとりあえずズボンを降ろした時が非常に危険である。その際に財布の収まりがポケットの中で非常に浅い場合にその危険度は加速度的に増す。

取るものもとりあえず、一刻を争ってしゃがむ
  ↓
排泄の快感に浸る
  ↓
財布のことを失念する
  ↓
不用意に立ち上がる
  ↓
浅くポケットに入った財布がポケットのふちに移動する

 ※タイトルのPはポケットのPでした。                            つづく