353話 回数カード 1

筆者は和歌山大阪間を回数券で通勤している。

「休みがない、休みがない」とブログに書くほどなんだから、定期券の方が安いでしょうに、と思われるかもしれないが、計算してみるとそうではなかった、

尼崎の実家に泊まりに行く日も多く、また大阪方面で色々と用事がある場合には、自動車で行くこともある。さらに道場以外での仕事もある。

水曜日は
和歌山自宅→大阪道場→神戸サラシャンティ教室→大阪道場→和歌山
という「三都物語」である。

さらに隔週木曜日は
和歌山→奈良(生駒)→尼崎(兵庫県)→大阪道場→和歌山
という「四都物語」である。

さらに金曜日には午後扇町のホロンPBI教室にも出かける。
和歌山→大阪道場→ホロンPBI(大阪市扇町)→大阪道場→和歌山
という大阪市内ちまちま移動日である。

さらに、出かける時間はほとんどの場合は朝からだが、たまに昼前ということもあるし、午後の移動ということもある。

回数「券」というけれど、最近は磁気カードである。ヨガの指導員をしていた10数年前のJRの回数券は、有効期限のスタンプされた親券に一枚ずつの子券が11枚つらなったびらびら券だった。行き先もはっきりと決まっていた。

最近は磁気カードかつ金額のみ決定で、行き先の制約はない。そして回数券というと10枚分の値段で11回という「ほぼ一割引き」であったのが最近は「昼間だったらさらにもう一枚」という12回昼間割引カードがある。テレホンショッピングのふとん圧縮袋のように「休日祝日にはさらにもう2枚おつけしましょう」という祝祭日日曜14回割引カードもある。3ヶ月で10回も使いまへんという方に「ハーフ」という7回、6回に仕立てた券もある。(筆者はこちらだ)

それが南海と阪急あるから、全てを購入すると6枚になる。隔週の奈良出張も加えるとさらに1枚。さらに地下鉄の「200円区間特別カード」という割引率の高いカードに、金額にこだわらない3000円で3300円乗れますカードがある。さらにさらに回数券乗り越し時の精算用の「するっと関西」カードがある。

ざっと10数枚枚の各種回数カードということになる。そのなかから使用頻度を想定し、期限切れのリスクを避け、ざっと6枚ほどのカードを買っている。

同じ私鉄のカードは柄(がら)が同じである。11回券と休日用14回券も「みてくれ」はほとんど同じである。間違えはゆるされない。

平日に休日カードを自動改札機に挿入するといきなり関所が閉まり、警報が鳴り響き、取り方が「出会え、出会え!」「ご用だ!」となる。休日に平日カードを挿入すると、自動改札機は黙って通してくれる。しかし、大幅割引率を損することになる。

そこで改札が近づくと、すばやくお尻ポケットから財布を抜き出し、さらにそこからカードの束を抜き出し、トランプのいババ抜きのごとく1枚の対象カードを抜き出す時もあれば、ポーカーのワンペアのように精算用のカードと2枚を切る場合もある。

註:以上の理由で、財布は膨れ上がってトイレでしゃがむのには分厚くなりすぎ、また取り出しが頻繁なため尻ポケットに入れるのが必須となり、昨日までの日記の事件を引き起こす要因になった。

面倒くさいと言えばそうだが、さほど抵抗はない。それはその面倒くさい作業が「ああ、俺は今もっともお得な選択をしているのだ」という満足感につながるからである。改札を通るたびに「得した」ような気になる。利にさとい関西人の性であろうか。この喜びは定期券をお使いの方々には決してご理解いただけないだろうと思う。