354 回数カード2

そしてこの夏、さらに一枚のカードが加わった。このカードが画期的である。表向きは、関西私鉄各社が結束して、一人勝ちをもくろむJRに対抗し、夏休みの行楽に私鉄を使ってもらって売り上げを伸ばそう、というカードに見える。しかし私には「暑い中、せっせとがんばっている津田さんのお小遣いを助けて上げましょうカード」にしか思えない。その恐るべきカードを

「するっと関西 3DAYカード」という。

指定エリア内、一日乗り放題チケットである。この指定エリアが半端ではない。南は和歌山、北は京都、東は奈良に、西は姫路という超広域エリアをカバーしている。そのエリア内ならバラバラに3日使えて5000円。一日乗り放題で約1700円である。ちなみに和歌山と道場を寄り道なしで往復すると、料金は2200円ほどかかる。平日の回数券だと2000円弱。「3DAY」だとどこにも寄り道しないでもすでに平日回数カードより300円お得である。正規運賃からだと500円の差である。帰りの改札で差額の数百円がチャリンチャリンと財布に戻ってくるような充実感がある。

そして今日(21日)木曜日は4都物語である。

和歌山→奈良(生駒)→尼崎(兵庫県)→大阪道場→和歌山

以上のルートを正規の運賃で移動したとすると、ざっと3400円かかる。「するっと」一日分が1700円だから、なんと半額で移動できてしまう。

1700円のカードで1700円得するのである。数学的にはまったく正しくないが、気分的には「ただになった」に等しい。私はまったく額に汗することなく1700円という『お得』を生み出したのである。

何もないところから、「お得」を生み出す「スルット関西カード」には、おそらくフォースが宿っているのであろうと思われる。(フォースの意味が分からない時は、映画『スターウォーズ』を観てね)

暗黒の帝国と戦うジェダイの騎士は、腰に「ライトセイバー」をつけている。ジェダイたちが正義の戦いを行う時、ライトセイバーにはフォースによって正義の光が剣の形にともるのである。

私が南海、近鉄、地下鉄、阪急の改札に向かう時、尻ポケットの財布の中の「スルットカード」にフォースが宿るのである。尻ポケットからカードを取り出し、構えた瞬間、「ブオーン」という音とともに(残念ながら私以外には聞こえないらしい)緑色の正義の光が剣のように輝き(残念ながら私以外には見えないらしい)自動改札機を正義の光で貫くのである。さらに右上方には「ヨーダ老師」が私を見守り、左上方では「オビワン・ケノービがヒゲをなでているのである。(残念ながら・・・以下同じ)さらに改札の向こうには、ナタリー・ポートマン扮するパドメ・アミダラ女王が、ラックス・スーパーリッチでシャンプーした髪をなびかせて微笑むのである。(残念・・・以下同じ)


「スルット関西・フォース」は、銀河系をカバーするのにはやや力不足だが、京阪神および奈良吉野、播州姫路まではその力が及ぶ。エリア内最南端に住む筆者は、スルットフォースを使いこなすには、しごく有利な対象者であると言えよう。

極端な話、始発に乗って姫路に行き、姫路城を拝んでから、出勤してもいいのである。仕事の合間に、京都に行って賀茂川の川風に吹かれて戻ってきてもいいのである。神戸電鉄有馬温泉にも行けるし、奈良、吉野経由で帰ってきてもいい。実際には予約が詰まっているので、実行はかなり難しいけれど、京都で開催されている「坂本龍馬生誕170周年記念 龍馬の翔けた時代 展」には来週あたり行こうかと思っている。