370話 あっ、だんじりだ

14日の夜、帰宅の道中でのこと。なんば駅に「岸和田へは○番ホームからの特急/急行をご利用下さい」というはり紙があった。そうだ、今日は岸和田市民が盆・正月よりも大事にするという「だんじり」の日なのであった。

だんじりをご存じであろうか。山車を多人数で曵く。シンプルに表現すればただそれだけである。しかし、この「だんじり」を動体学的に見ると非常におもしろいからだと季節の関係が見て取れる。

9月と言えば秋である。食欲の秋といい、読書の秋というが、動体学的に言えば「捻れる秋」であり「闘争的エネルギー」の秋ということができる。

昼まで暖かいとは言え、朝夕は気温が低下し、一日の中の温度差が大きくなるのが秋である。そして、この温度差の影響が身体に入ると、からだは捻れるという現象をおこす。体勢が変化するのである。体勢が変化すると、その体勢に沿った感受性が色濃く出る。捻れると「闘争的」になるのである。

こう書くと難しく感じるかもしれなが、逆もまた真なので、感受性の変化が体勢をどのように変化させるのかという説明をしてみる。

人は闘争的になると捻れるのである。今、あなたの目の前で横山やすしが「お・こ・る・で〜、しかし」と「こぶし」を振り上げたとする。しかし、そのやっさんが胸も肩も顔も真正面に向けてまったくねじった部分がなかったとする。するとあなたは「ヤバい、逃げろ」とは感じない。しかし、例え怒りの言葉はなかったとしても、片側の肩を引き、斜にあなたを見る体勢を取り、そこに力感のようなものが徐々にぐぐぐぐぐっとこもるのを感じた時、「やばい」と感じることは必須である。

また、今あなたの目の前にいる人に怒りを感じたとする。からだを正面に向けたままであれば「抗議しよう」という発想にはつながるが、攻撃的な言動や行動は取りにくい。しかし、怒りを感じながら体を捻っていくと、殴りたくなるような意識がふつふつと湧いてくる。(つづく)