395話 手様に磨きをかける の2
土曜日の続き
午後、M森氏の合気道部の先輩であるS澤氏がヨガのクラスを受けに来たので、M森氏との稽古の話をして「後ろ羽交い締めでも大丈夫だった」などと伝える。
比較宗教学という訳の分からない学問をするS澤氏も180センチを超える大男である。
余談だが、最近なぜか男性の受講生が増えてきた。M森氏やS澤氏のようにサイズが大きいメンバーが多い。快気法などのクラスは、寝転がってやることが多いが、それら男性は非常に広い面積を占有する。また彼らは快気法の時の自由な手足の伸び伸び運動もまた極限まで手足を伸ばし、上下左右にどんどん向きを変える。
女性だけのクラスなら16名入る道場だが、彼らが混じると10名強で手狭に感じる。これはゆゆしき問題である。現在は一律同額の受講料だが、身長&体重で受講料に差をつけることが必要ではないか、と私の頭の中の一部ではそうささやく声が聞こえる。
びっくり合気道をS澤氏に試してみる。
「これは面白いですね」
とS澤氏も技のかかる感覚に今までとの違いを感じている。
「後ろ羽交い締めでも大丈夫だった」
と聞いたS澤氏は、いきなり後から襲いかかってきた。ウソでなく
「交通事故か」
と思うぐらいの強さで来たのだけれど、(首が一瞬むちうち状態になって、右手が指先までしびれたんだから、半端でない)それでも素直にびっくりしたら、S澤氏もころがったのである。それにしても加減ということを知らないやつである。はたまたそれだけこちらが信頼されているということだろうか。
あるものと遭遇した瞬間に起こる反射のうごきが、実はもっとも良い対応策が選ばれているのではないか、という仮説のもとにしばらく精進しようと思う。
夜は、ニコニコマッサージによるファイスケアとメイクの研究会件勉強会。劇団オクトのメンバーでメイクも勉強しているたえちゃんと、合同で講座をしようかと12月に企画しているので、その下準備の会である。
オクトからはきよ、りょう子、文ちゃんが来てくれ、ミュートではA野さんとH谷さんらが参加して、メイクのどこにニコニコマッサージをからめるのが得策であろうか、ということをやりながら考える。
なんといっても筆者はふだんメイクをする習慣がないので、「化粧道 洗顔から仕上げまで」を解説してもらい、またじゃんけんで勝った人が、メイク学校卒業生でありたえさんより直々にメイクをしてもらう。
ふむふむ。
女性というのは、これほど複雑多層多重作業を毎日されているのですね。
ふだんあまり化粧っけのないH谷さんがじゃんけんで勝利。たえさんのてきぱきメイクにおおおおおっと美しさを増していく。
たくさん塗っているようで厚化粧にならない、というのがたえさんのお師匠さんのメイク道らしい。
しかし、これほどいろいろな道具と行程を経てメイクをするとは知らなかった。メイクの途中にニコニコマッサージを応用するというのは、考え方としては得策ではないな、と感じる。
きよをモデルに、ニコニコフェイスマッサージを披露する。公演直後の疲労で小さくなっていた目が、みるみるくっきりと大きく見開く。
「私は目の大きさに左右差があって」
と事前に本人が言った時には分からなかったけれど、ニコニコで本来の目を取り戻すと、確かに左右差がある。小さい方にニコニコを足して、左右差の補正を試みるが、いかんせん一回ではまったく同じにはならない。しかし、習慣化すればかなり改善はされるものと思われる。
メイクモデルになったH谷さんから、
「メイクをしてもらって、顔をちょっと緊張してくるので、頭、髪の毛の部分のニコニコでそのあたりをケアしてもらえたら」
と提案があり、さっそく試してみる。なかなかよろしい。
ということで、12月23日予定の「ニコニコフェイスマッサージ&メイク教室」ではニコニコマッサージでその人本来の「いい顔」を引き出して気持ちも明るくして、そこに「ナチュラルメイクでさらに磨きをかけ」「ニコニコ頭部マッサージで仕上げをする」というような構成になりそうだ、というところまでめどがつく。