411話 不正 2

書きあがった傑作原稿が突如としてぶっとんでショックを受けているユーザー様に、「不正を行った」とは何事だ。

「お客様の行った操作の中に、適切ではないものが含まれていたようです。いえいえ、お客様を決して責めているわけではございません。誰にも間違いというものはございます。ですが通常の処理を続行しかねるこちら側の事情というものがございまして、大変残念ではございますが、今日のところは終了させていただくことになりました。あしからずご了承下さい」

ぐらいのことは言ったら(って画面はしゃべらないから表示したら)どうだ。

「またのご使用をソフト一同心からお待ちしております」

ぐらいは付け加えたらどうだ。

という私のパソコンは、ウインドウズ97である。その後、ソフト制作者も心を入れ替え、顧客重視の路線に変わっているのかもしれない。

愛機「バイオくん」は液晶の一部左丈夫が斜めに欠けてしまい、画面の一部が読めないし、バッテリー残量の表示も隠れて見えない。

もう一台の「マック=アイブックちゃん」は既報のとおり「U」のキーボードは取れてゴムの突起物だけになってしまっているし、内臓バッテリーは完全に干上がってしまった。最近のソフトで作られたらしきブログやホームページはことごとく画面が異質なものに化けてしまい、山上君のブログなどは、意味不明の記号の羅列画面になってしまっている。最近は自分のブログの編集ページにさえログインできないし、自分のメールマガジンさえ「まぐまぐ」に発行が拒否されるというパソコン。その燦々たる様は

福井晴敏の傑作「終戦のローレライ 全4巻」(講談社文庫)。

時は昭和20年8月。首都東京をターゲットにした広島・長崎に続く3発目の原子爆弾を抱えたB29号の離陸を阻止せんと、テニアン基地を単身目指す日本海軍の秘密潜水艦イ507号。待ち受けるアメリカ海軍大艦隊の、空母、戦艦、巡洋艦駆逐艦、潜水艦数十隻にぐるりとかこまれ、なぶりごろしのごとく投下される機雷・爆雷・魚雷。鬼神のごとき絹見艦長の奇想天外な機知と操船と神技でそれに応える乗組員達。たぐいまれなる探知能力のローレライ=パウラにも助けられ、ずたずたになりながらも奇跡的にテニアン島に到着したイ507号もかくありなん、という我がパソコンの現状である。

でもね、この12月にはパソコンを買い換える予定なんだもんね。

って、結局それが嬉しいという、ただそれだけのためにごたくを並べた内容に二日もおつきあい頂きましてありがとうございました。