423話 寒稽古

今日は定休の月曜日に祝日が重なった実に「休み・休み」した一日。


午前中。


朝は、あさちゃんの空手の寒稽古。紀ノ川まで走って行って、川に入って稽古という荒行であるが、川に入るのは希望者のみで強制というわけではない。


ざっと50人以上の参加者にテレビカメラが4局ほど来ている。


寒稽古におけるギャラリー効果というものは確かにあると思う。見てくれる人がいるからやってしまえる、という部分である。


40人〜50人集まって、保護者関係者なども一緒になって、テレビカメラまでスタンバイして「ウリャ」とか「エイ!」とかやってるから成り立つのである。


しかし、本当に精神力を鍛えるとかそういう効果を期待するのであれば、一人で川に行って、こっそりと泳げばいい。

その方がよほど胆力も気力も鍛えられるであろう。しかし、それが一人でできるような強い人間は、あらためて「寒稽古」などと銘打たなくても、日常がすでにハイレベルであって、普段通りが厳しい修行になっているだろうから、あらためてしきり直す必要はないのかもしれない。

そこまでいかない人間が、「こういう機会でもなかったら、こんなこととてもできないわなあ」という体験をすることは、それはまた価値があるのであろう。


そこにギャラリーがいることで、いっそうやれてしまう、ということもあるだろう。

そこにテレビカメラが4台あって、女子アナのインタビュー付きということになると、さらに普段でない力が出る人も多かろう。


ところで、「現場にいるのとテレビで見るのとは全然違う」というのは、先月末にバウさんと空手の宇城先生のラジオ収録に同席させていただいた時にも交わされたテーマであったが(この話はブログ未収録)ここ、紀ノ川での「拳武館・宇治田道場寒稽古」の場でもそれが実感された。


テレビカメラマンである。


それぞれ別の会社なのであろうが、彼らはみな一様にオーバーオール型の長靴スーツを履いているというか着ている。

そして肩に大きいカメラを担いで、寒風吹きすさぶ川に入って、水中から空手の寒稽古を撮るのである。カメラマンたちも体を張って勝負していたのであった。

川というのはあるいてみると、けっこう足を取られるものなのである。流れのない温泉やプールでも腰から下まで使った状態で歩くというのはけっこう抵抗がある。温泉やプールは足下がフラットだから安全だけれど、川は傾斜があったり、穴があったり、石や岩があったり、こけでぬるぬるしていたりするので、温泉やプールとではその歩きにくさは比較にならない。


おまけに流れだってある。ぬるっと滑ってばちゃんとこけると、何十万か何百万のテレビ用のカメラがおじゃんである。


海水パンツで入水する空手マンたちにも拍手だったが、腰までつかりながらいい絵を撮ろうと奮闘するカメラマンたちにも拍手である。


ちなみに、わが娘のあさちゃんは、今年は様子見に徹していたようで、もちろん川には入っていない。右手の手首から先だけを、寒稽古させたという。(水に浸しただけとも言う)