457話 そばに薬味入れるべからず

【偏ると満たされず、満たされないとむさぼり食う】


で思い出すのは「わんこそば大食い名人」のコメントである。


「そば」そのものは、痩せた寒冷地や山間部などでも育ち、栄養価も高い、うまい、というとってもすぐれた日本の食べ物である。つまり質がいい。筆者も西中島南方の『そばよし』は大好きである。中でも「開運そば」はエビ天2匹に揚げが入って、だしはうまいし、おみくじまでついて・・・って書くと脱線しすぎるので話を戻す。


質がいい、ということは大量に食べなくても満ち足りる、ということである。


それを食するにあたって、わんこそば名人は二つのポイントを上げていた。


【薬味は決して用いるべからず】

【噛むべからず】
の二つである。


【薬味は決して用いるべからず】

だいこんおろしとか、「切りのり」とか、刻みネギとかを入れちゃいけないよ、と言っているのである。ウズラ卵なんてだめだってば、とろろなんて言語道断!と言っているのである。わさびを利かせてなんて何を考えとるんじゃ!とのたもうているのである。


そばがいかにすぐれているといっても、山海の栄養素がもれなく入っている訳ではない。薬味を入れればより多様な要素が身体に入るから、身体の方はそれらを組み合わせればこれぐらいあれば十分でっせ、ということで食欲中枢にストップをかけるからたくさんは食えなくなる。


アトピーの赤ちゃんを持つ母親に対して、母乳に可能な限りのアレルゲンが入らないように、という「除去食」という食生活指導がある。極端な場合は青菜と白米のみ、という食になる。この食生活をした人は、あきれるぐらいの量を食べ始める。今まで小食だったお母さんが3倍ぐらい食べるようになり、しかも一日中イライラしている。


これも【薬味とわんこそば現象】である。必要なものが入らないから欲求が止まらなくなるのである。


そしてもう一つの秘訣


【噛むべからず】


である。