471話 時間のこづかい帳

世間の連休は7日で終わりであるが、筆者は月曜日が休みであるので今日もお休み。


昨日は、晴天であれば、最強アウトドアファミリーえりこママ情報による


「新しく整備された道を走れば、2時間半で川湯温泉よ」


発言に触発されて、川原を掘ったら即温泉が湧き出るという、聞くだけでもう頭の中に湯煙が漂う夢のような熊野の川湯温泉へ行こうとプランしていた。


しかし、昨日は一日中雨。しかも「和歌山県南部に大雨洪水注意報(だったか警報だったか)」が発令されていた。


これは川湯温泉にとって致命的である。だって掘りたくっても大雨の増水で川原自体が増水に飲まれて存在しないんだから。それを命がけで掘ったって、誰もほめてくれない。流されて多数の方のご迷惑をおかけするだけである。


ということで朝はすずなとお城まで散歩に行き、午後は阪神対横浜などを観戦し、夕刻は子どもと人生ゲームなどをやりながら折に触れ「うとうと」と一日過ごす。


昼間うとうととしていたのにかかわらず、夜も比較的早い時間にぐっすりと朝まで眠る。



こういう睡眠をたっぷりとった翌日は、嫌がおうにも鋭気がみなぎる。こういう際には何か大きい仕事を片づけたくなるのだが、そういうふうに気張ると、逆にことごとくだらだら化してしまい、結局後悔の一日になるのはさんざん経験している。


45年の生涯のうち、30年以上はそういう「欲張って裏切られる」を繰り返している。


ゆえに、細々とした小ネタを片づけることにする。こういうこともこまめに片づけておかないと、大ネタに取り組む際に足を引っ張られる。また小ネタをやるうちに、やる気がむくむくと大きくなり、例えば会報の原稿が一本そそくさと出来上がったりする。


しかし、細々とした雑用を数多く片づけようとして、紙に書き出して優先順位などつけようものなら、そういう「計画立案」の時点でやる気の大半を費やしてしまって力尽き、結局午前中は桂南光司会の「痛快 エブリデイ」などを見ているうちに昼になり、昼食を食べながら「思いっきりテレビ」を見ているといつの間にか「ザ・ワイド」などが始まり、うたた寝からさめると「ワイド劇場」か何かで「女子大生、混浴温泉殺人事件」などを後半半分見て、すずなの散歩に行き、夕食を食べつつナイターを見ていると寝る時間になる、という一日になるのはさんざん経験している。


故に計画は立てない。


子どもたちは夏休みの諸注意として「計画的に過ごしましょう」というサラ金のCMのような文言の「夏休みの過ごし方プリント」を受け取り、「夏休みの計画表」などを強制的に書かされているのを目にする。


それを出している小学校の諸先生方は、本当に日々をそういう計画に沿って生きておられるのであろうか?そして、まさしくその方法が、日々を充実させ、結果も残し、ストレスも減り、次の意欲も湧く、という体験的実感のもとに小学生達に「夏休みの計画表」を配布、強制記入させておられるのであろうか?


計画遂行能力のない筆者は、小学校の先生方は「自分もそういうふうにやりたいけれども、なかなかうまくいかない。でも、もしそれが実行できたら、きっと幸せになりそうな気がする」という「想像的確信」で学童達に計画表の提出を強制しているのではないか、と思われてならない。


そういうことができる自分でありたい、という理想論を捨て、現実を直視して休日の時間の有効利用について、計画は立てない。


立てないかわりに「これをやったぞ記録」をする。


便所から入浴、喫煙、書類探しに至るまで、「一項目」として数えられるもの全てに、着手から終了までの時間をひたすら記録しながら過ごす、という方法である。内容は自分にさえ分かればいいので、大きな用足しは「BEN」などと省略し、どんなにたいそうな項目も4文字から5文字の短縮して開始時間と終了時間を書き込む。


生産的なものであろうと、休息であろうと、ひたすら行動が変わればそれを書き込む。


人目があれば人は張り切ったり怠けにくいというのは理解できるが、筆者は自分に対しても見栄をはる性格なんだなと実感する。何をやっているのかを書き出すと、とたんに意味不明のことをやらなくなる。不必要なことはやらなくなる。家事手伝い的要素も含め、小ネタながらも着々と色々なことが進む。痛快エブリデイを見ながらも、何か用事を片づけ、ごろりと横になってテレビをだらだら見る、といういつものパターンが消えてしまう。


要するにこれはあれだ。時間の「こづかい帳」なのだ。


計画を立て、それに向かって着々とことを進めるという能力は筆者にはないようである。


そういう筆者にとっては、この「時間のこづかい帳」方式が、休日で時間が自由になり、かつ遊び日に設定されていない日の筆者の時間の過ごし方をもっとも後悔のない状況に近づける方法のようである。