478話 99.9.%は仮説
「99.9.%は仮説
思いこみで判断しないための考え方」
光文社新書、竹内薫 著 700円
を読んだ。
「科学的な根拠」というようなものが、実はめちゃくちゃいい加減でっせ、というようなことが色々な角度で書かれている本である。
飛行機が飛ぶのは何故か?というテーマに対して、通常使われている説明というのは、実は矛盾だらけで、つじつまが合ってませんねん、というような実例が挙げられている。
しかし、これはまだいい例なのである。なぜなら飛行機は現に飛んでいるからである。浮かぶ原理は説明がつかないんだけれども、こういう設計にして、これくらいのエンジンの馬力があれば、こんなふうに飛ぶでしょ、と言われれば「はい、そうです」と素直に言える。だって実際に飛んでいるし、乗ったこともあるんだから。
おそらく飛行機は「こういう設計にしたら良く飛んだから、じゃあこういうふうに改良したらもっと飛ぶんじゃない?」というような実験と結果のもとに、徐々に巨体へ高速へと移行していけたのであろう。
なぜ飛行機が浮かぶのかの説明が付かない理論を元にして作られた訳ではない。だってそれじゃあ飛びそうもないもの。
「航空力学の大家」なんて言葉があるけれど、そういう方は「現場に精通」しているわけで、理論に精通しているわけではないんだろうなあ。
でもこれって、なんか「職人の世界」って感じである。
「親方、ここは何でこういうやり方をするんですか?」
「馬鹿野郎、俺がこうやるってったら、黙ってこうやるんだ。うまくいくからそうやってるんじゃねえか。理屈で腕が良くなるんなら修行はいらねえんでぇ。へりくつこねるヒマがあったらもっと修行しろい!」
もしかしたら、科学技術というのは、研究室に白衣ではなく、現場で作業着で作られているものが大半なのかもしれない。
やはり「事件は会議室でおこっているんじゃなくって、現場で起こっている」んですね。青島さん。やはり現場の人を大事にする世の中じゃなくっちゃ。