489話 旅行積み立て

筆者「歯」情報 仮歯の前歯です。



家が片づいている。非常に片づいている。これで一週間と2日目になるが、散らかしざかりの子どもたちも、すっかりときれいな状態を維持している。


ことの発端は、我が家を設計した建築士さんが、お客さんを連れて家を見に来るという話である。


我が居住区は、

「きれいな建材のうわべだけの高級感など不要!天然の木の正目板目以上の何がいるというのだ」


ということで、床も天井も板のまんま。何も塗らず、天井板貼らず。梁もむき出しで見える。。(って貼れば貼るほど高くつくからそんなのやだという事情もある)


構造だけ観れば、新築というよりも古民家に近い部分がある


この設計士さんも木が大好きなので、新しいお客さんに木の良さを生かした家をいくつかご紹介ということらしい。そこそこ年配のご夫婦の「終の棲家」設計に参考になる住宅をご案内、ということらしい。


天井板を張っていないので、リビングの上の天井はそのまま子どもたちの部屋の床ということになる。そこを50センチほど四角く切り抜き、子ども部屋からリビングまではしごで垂直に降りられるようにしてある。逆にはしごのふもとから天井の穴に向かって叫べば、子ども居住区中に響き渡るようになっている(って狭いからだけど)とてもこっそり引きこもったりできない構造である。


ちなみに「筆者の書斎」と設計段階で呼ばれていた部屋の壁面は、「かなりの壁面がどうせ本棚と書類だなに隠れるし、家にいる時間もたいしていないんだから」という理由で、ただのベニヤ板である。(ちなみに今は【室内洗濯物干場】と化している。


床続きの隣にある「物置スペース」と見てくれはなんら変わりない。


こういう家が【そこそこ年配のご夫婦の「終の棲家」設計に参考になる住宅】かどうかははなはだ疑問であるが、来るものは仕方がないので、家族全員で当日の朝までかかってきれいにした。


あまりのきれいな様に筆者はいたく感動し、家族に

「近所のスーパー銭湯か北海道か、沖縄か!

  家族旅行争奪 片づいた部屋積み立て作戦」


を提案した。


家族全員に一日50ポイントが与えられる。夜8時以後にチェックタイムを設け、その時間に自室および共用スペースに私物が散らかっていない状態であれば、その50ポイント(50円)がチャリンと貯金箱に入れられる。全員がきちんとしたら一日250ポイントが積み立てられる。


いつ使うかは決めていないが、じゃあ旅行に行こうという時に、この貯金箱にたまった分でいけるところへ行くのだ、ということになっている。たまり方が悪いと、近所に日帰りでコンビニ弁当を持っていくというレベルになる。


そういう試みを始めたのだけれども、どうしたわけか一週間と二日たった今日も、家の中はきれいなままである。チャリンチャリンと2000ポイントもたまってしまった。


おまけに「パーフェクトが一週間続いたらボーナスポイントもつけちゃう!」


などと口走ってしまったので、この調子だと一ヶ月10000ポイントのペースである。

たまるのはいい。


しかし、この原資は筆者のこづかいである。今一ヶ月1万円ペースで着々と片づいている。おそろしいペースである。


しかし、旅行積み立てがたまる分、筆者の財布はやせ細っていくかと言うと、そうでもなかった。一日250円ぐらいはなんとなく使っていたのである。


内田老師のおっしゃる


「自分の荷物は重い が 人の荷物は軽い」


にも通じるところがありそうに思う。我が為だけの節約はいじましいが、家族の笑顔のための節約は楽しい。