547話 ドーピングじゃなくってテーピング

今日、文化の日はあさちゃんの空手の大会。


今回は関西大会。といっても大流派の中の一つの道場の系列を集めたものなので、関西の空手選手が一同に集まる、というほどの大会ではない。


しかし、和歌山の「ビッグホエール」というくじらをかたどった大きな体育館を借り切っての大会ではあるわけだから、さほど小さい訳でもない。


今日はお仕事は休みにしてあるので、朝からあさちゃんを「ニコニコタッチセラピー」で全身の関節と筋肉を仲良し状態にして、その効果を持続させるべく「秘伝のテーピング」を行う。テープはただの伸縮性テープである。貼り方が秘伝なので、ここではどういう貼り方なのかは書かない。だって書いたら秘伝にならないじゃないか。


大会本番。


ほとんどが黒帯の「小学校5・6年生女子 形の部」20名に混じって茶色帯のあさちゃん。一回戦は二人ずつ登場して、それぞれに得点が出る。上位8名が決勝へ。決勝戦では一人ずつ形を得って最高得点者が優勝というルールだ。


と、あららら、得点順位2位で決勝進出。


と、あらららら、優勝しちゃった。


おめでとう、あさちゃん!


といっても、まったくぶっちぎりなどではなく、1位と2位もほとんど差がなく、2位の得点には同得点選手がずらりと並ぶという僅差も僅差の勝負であった。紙一重とはこのことである。


聞くところによると、採点は減点法らしい。


であれば、筆者の見るあさちゃん最大の勝因は「減点するところが見つけにくかった」ということに尽きる。アイススケートのように得点法であれば、優勝はしていないであろう。


あさちゃんよりも鋭い突きの選手もいたし、早い蹴りの選手もいた。力強い技の選手もいた。むずかしい形に挑戦している選手もいた。


ただ、どこか力みがあったりバランスが悪かったり、ほんの少し「んんん?」という部分があったように思う。その紙一重の差が勝敗を分けた。あさちゃんにはそれが少しだけ少なかった。


それは、もちろん彼女のここまでの努力もあるが、つい先日家で稽古していて、自分がイメージする形が打てないと、あさちゃんは泣いているのである。(別に親がつきっきりでスパルタ練習をさせわけじゃないよ。本人が自主的にやって自分で自覚して泣いただけである)それが非常にバランスの良いもの、つまり「イメージした通りにほぼカラダが動く」になっていたのである。


とすれば、隠れた勝因はやはり【ニコニコテーピング】ということになる。ニコテープの最大の効果は【力みの消失】にあるからだ。


陸上競技などで薬物に頼るとドーピングで失格となる。ニコニコテープの効果はまだまったく世の中に知られていないから、「ニコニコテーピング禁止」というおふれは出ていない。


テーピングがドーピングのように制限をうけるぐらい、その効果が認められる日は来るんだろうかなどと思う、休日の筆者なのであった。