550話 TSU○○YAの鍵 腰砕けな結末

5日

532話 532話と、二回分も費やして詳細にその反社会的トイレを糾弾した『反省ざる的大きな便り』の舞台になった【TSU○○YA】に、ダンス用の音楽を探しに行きたいというあさちゃんといっしょに出かける。

そして帰り際に『小』をもよおしたので、トイレに寄ってから帰ることにした。


そして、当然のことながら「鍵はどうなったんだろう」と見てみたら・・・・、信じられない!天下の大チェーン、【TSUT○YA】だというのに、未だに鍵がついていない。


筆者がこの店舗の労働者諸君の一名だとしたら、鍵のついていないトイレというものを二週間も放置しているお店など絶対に働きたくない。


スタッフ一同も当然このトイレで用を足すだろうに、あのカウンターにずらりならぶ妙齢の女性たちも、反省ザルのような格好で大小を足しているということなのか?


やはり個室のドアの内側には「かならず鍵をかけてください」の表示がある。しかし、その表示の下には鍵を取り外したねじ穴があいている。2週間前と状況はなんら変わっていない。


再度外に出てみてみる。「鍵故障中」というような表示は一切ない。「万引きは犯罪です」というプレートと「トイレをご使用になる方は、カウンターまで一声かけろ」という2枚のプレートがかけられている。


まずドアを開けると洗面所になっている。洗面台をはさんだ向こう正面も鉄の分厚いドアになっていて、これまた分厚いすりガラスごしに見るとその向こうは倉庫のようである。そして洗面台に背を向けて立つと個室のドアが見える。そのドアの内部にはどこにも鍵がついていない・・・・


洗面スペースから再度店舗内に出ようとしてドアのノブに手をかけると・・・



・・・・・あった。



洗面所入り口に鍵がついていたのである。



う〜ん。二日分も時間と手間を費やした前の二話は何だったんだ。

ちょっと自分を弁護しておこう。


だってね、


【まずドアを開けると洗面所になっている。洗面台をはさんだ向こう正面も鉄の分厚いドアになっていて、これまた分厚いすりガラスごしに見るとその向こうは倉庫のようである。そして洗面台に背を向けて立つと個室のドアが見える。】


上記のように、洗面所の店舗側とは反対側にもドアがあるんでっせ。トイレに入るために洗面所の両サイドの鍵をかけてから、鍵のかからない個室に入る、というシチュエーションは考えにくくありません?洗面所の二カ所の鍵をつけて個室に鍵をつけないというのが、常識的かどうか、という問題である。


奥側の鉄製すりガラスの窓付きのごっついドアの鍵がどうなっているかと思って触れて調べてみると、強力な接着剤のようなもので完全にロック状態で止められていた。内からも外からも出入り不可能である。であるから、確かに洗面所の店舗側の鍵さえかければ、密室は誕生する。


手間で考えると、洗面所の2対個室の1であれば、個室の1のみの方がユーザーの手間は少ない。誰かが個室を使っている間も洗面所は使用可能になる、という方が家庭内などであれば断然合理的である。


しかし、不特定多数が使用するレンタルビデオ屋だということを深く考えると、個室で「ぶりぶりぶり」ってやっている間に、誰かが洗面所を使っている、というのは抵抗のある人も多いのかもしれない。そういうあたりまで店舗内スタッフ会議でケンケンがくがくやった結果の選択としての洗面所閉鎖方式の採用であったやもしれぬ。ここまで深く考察しないとわからない俺がばかなのか。


しかしですよ、個室の内部の「鍵が本来あるあたり」に「必ず鍵をかけてください」という表示を貼り付けている意味がわからない。鍵のないところに「鍵をかけろ」と書いているのである。書くなら


「洗面所のドアの鍵をおかけください」


と書き、願わくば


「右手の鉄製ドアの鍵は施錠されています」


とでも書いてほしいものなのである。



筆者は、洗面所ドアの外にかかっていた


「トイレを使用される方は、カウンターにお声をおかけください」


のプレートに、「TSUT○屋」さんの誠意確認への一縷の望みをかけた。一声かけろという表示に従ったお客が、カウンターにて「洗面所ドアにしか鍵がついておりませんので、ご注意ください」とでもフォローがあれば、店側に落ち度はない。ことの最中にいきなりドアを開けられたお客がいたとしても、カウンターに声をかけろと書いてあるのに無視したお客が悪いのである。


筆者、カウンターへ行って「トイレ貸して下さい」と声をかけた。カウンター内のポニーテールのお姉さんのお答えは


「どうぞ」


だけであった。


釈然としない筆者であった。しかし、抗議もしない気弱な筆者であった。