561話 怠け者の私のせこさにつけこむ

原田先生の日常設活を改善しつつ、目標にむかって進んでいく日誌を軸にしたしくみについて、もう少々気づいたことを書き連ねる。


日課にすることを月間予定表のようなものの縦軸に書き並べ、横軸にとった日付ごとに出来た出来ないを○×でチェックしていく。こうすると人間○を増やしたくなるので、習慣化する。


日課の中には『稽古、練習、トレーニング的積み重ねが大事だよ的』なものも含んでいるので、
毎日続けるとうまくなったり、できるようになったりとおもしろみが出てくる。


その項目には「これは10分やったら○ それ以下なら×」「これは100呼吸やったら○ それ以下なら×」という具合に鉄の掟を決めている。


そして、おもしろくなるとその時間をもっと増やしたくなる。回数を増したくなるのであるが、他にもやらなくっちゃならないことはてんこ盛りに設定しているので、そうそうそればかりにかまけていると他がお留守になるので、基本的には無断増量は許していない。


そうなると、限られた時間でもっと味わいを良くしようと、ますます質を上げようとする作用が働くことを実感した。


ふ〜ん、お前って(自分だ)そういうやつだったんだ。


かくいう筆者、いままでも「これは毎日やろう」とか「あれはもっともっと稽古しよう」と決心したことは数知れず。しかし毎回毎回裏切られ、続いた試しがない。なんで今回はうまくいくのよ。

そして、その継続のコツが、まずは一定量こなしておもしろみが出るまで続けることであり、二つ目が量を制限すること、ということであると分析した。


そこで他の日課にもこの「制限方式」をどんどん取り入れることにした。


「○○を絶対毎日やるんだ!達人目指して少しでも多くやるんだ!」


と強く決心してもやらない私が


「○○をやることに決めました。ただし、ずぇ〜ったいに10分以上はやっちゃだめ」


と制限をかけたとたんに素直なよい子になってせっせと励むのである。


個人セッションの予習を全員をもれなく十分にやるんだ!と決心してもやらないくせに「向こう3日間しか予習しちゃだめ。それも一人につき3分以上時間を費やすことは許さないわよ」


と脅しをかけると、実に高度に集中して毎日せっせとやるのである。


せこいやつである。しかし、これが自分である。このせこさにつけ込むことで私は幸せになるのであるなら、とことんつけこむべしである。


夜店の輪投げのようなものである。200円で輪が3つだけだよ!と限定されると一生懸命・鬼神のごとき気迫で景品に向かって輪を投げる。もしこれが「入るまでいくらでも投げていいよ」ということになると、おもしろくもなければ集中もしない。


筆者の場合は、「3本に限定された投げ輪」が「時間」に当たるわけだ。筆者この心理的意欲喚起法を輪投げ理論と名付け(ってたった今なんだけど)日常のあらゆる場面に使用し、日々の「張り」と「いささかの能率アップ」を得ているのである。


かくして、筆者のかたわらには、常にキッチンタイマーがピコピコ鳴ってる毎日なのだ。


齢45にして、自分という人間とのつきあい方を少し見つけてきたようである。